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不毛な関係と恋心13※
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(やっちまった……)
俺の上でピクリとも動かなくなった男を退かし、アイマスクを外す。
辛うじてコンドームはまとったままだった。たぽんたぽんと中身の入ったコンドームの口を縛り、ベッドサイドのゴミ箱に投げ入れる。
「んふふ」
散々ヤリ倒されて意識を飛ばしているのに、トモさんは機嫌良さそうに笑っていた。
(ちょっと待てよ)
エクボの浮かぶ横顔に見覚えがある。
『ミキって呼んで……!』
トモさんはそう言っていた。
口の中で「ミキ……ミキ…… 」と繰り返す。もちろん愛しいから呼んでいる訳じゃなくて、何かの糸口になりそうな気がしたからだ。
――元カノの兄弟とか?
確かに、「ミキ」という女と付き合ったことがある。
妹の(姉かもしれないが)名前を呼ばせながらセックスするなんて、とんだ性癖の持ち主だな……。
結論付けようとして、思い直す。
トモさんにコンタクトを取ったのは俺のほうからだ。
出会った相手が「たまたま」元恋人の兄弟で、さらには「行為の最中に妹(もしくは姉)の名前を呼ばせることで興奮する」などという特殊な性癖を持っている確率は、限りなくゼロに近いだろう。
(なぜ、見覚えがあるんだ)
「……あ、」
単純なことだ。
週に5日は見ているじゃないか。
『おはようございます……!』
毎朝、警備室のガラスを通してもハッキリと聞こえてくる声で挨拶してくる人の名字は、「三木」だ。下の名前は流石に覚えていないが、きっと「トモ」のつく名前なんだろう。
トモさんの顔には、三木先生と同じくエクボが浮かんでいて……。
俺は焦る所か、なぜか冷静になった。
相手の身元が分かれば、不安なく性欲処理が出来る。なんて事が頭に浮かんで。
(……最低だ)
自分でも心底思う。
だけど、三木先生なら変な事はしないだろう。
……裏表が無さそうだもんなぁ。
同性愛者だということは普段隠しているんだから、裏といえば裏のような気もするが、トモさんの人間性とは別の問題だ。
枕を抱きしめて、うわ言のように「かーくん」って呟くトモさんに目をやる。どうやら俺は好かれているらしい。
気持ちに応えるつもりは一切無いのに、体の関係だけは続けたい。
男だと思うだけで萎えていたのに、トモさん相手だと大丈夫だ。多分、そんな相手は滅多に居ない。
トモさんを起こさないよう静かに服を着る。ほんの少し生まれた罪悪感と一緒に宿泊代を置いて、部屋を出た。
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