アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
不毛な関係と恋心17※
-
トントンと2回、ドアを叩かれる。
「三木先生、大丈夫ですか?」
長谷川さんの声。
お酒を飲んでいたわけではないけど、長い間離席していたボクを心配して来てくれたらしい。
……何でだろう。
もう諦めたはずの長谷川さんに優しくされて、胸がキュッてする。
「……大丈夫です。ちょっと疲れちゃったのか、立ちくらみがして。少し休んだら戻ります」
チャックを上げたりしたらパンツ姿であることがバレるから、ボクはうずくまったままで応える。トイレなら脱いでいてもおかしくないけど、前を濡らしているのでものすごく後ろめたい。
「分かりました。締めの挨拶が始まる頃になっても戻らなければ、また呼びに来ます」
「すみません……、ありがとうございます」
「いえ、では」
もう一度、ボクは「すみません」と言って、遠ざかる長谷川さんの足音を聞いていた。
心配して来てくれたのに、声を聞いて落ち着くどころか、さらに体が熱くなる。ボクは脚の間に手を持っていきグリグリと先端を刺激した。
かーくんにも長谷川さんにも申し訳ないと思いながら、指を動かすのが止められない。
当然、染み出てくる液体も止まらなくて、静かなトイレの中でクチュッと音がした。
宴会場を出てくる口実に持ってきたスマートフォンが震える。
左手でぎこちなく確認すれば、かーくんからの返信メールだった。
『いつもの場所で』
短い文章は一目見ただけで意味が理解出来た。ボクは下半身を弄くるのを止める。
(かーくんと出来るなら、一人で慰めるのなんてもったいない)
『はい、いつもの場所で』
メールを返して、トイレットペーパーでパンツを拭う。染み込んでいるので、拭っても意味はあまりなかった。
“ズボンを穿いてしまえば傍目には大丈夫”、と言い聞かせる。
何食わぬ顔で……何食わぬ顔なんて出来ていないだろうけど、ボクは静かに宴会場に戻った。
◇
忘年会は一次会でお暇した。
――ピンク色のいかにも怪しげなホテルに着き、部屋に続く階段を上がる。
ここに来るのは何度目だろう。
結構な頻度で会って、一晩に何回も……って、かーくんは確実に絶倫だ。
物足りないより良いけど、気を失うくらい我を忘れて感じちゃうのは恥ずかしい。
……と、いつもこんな風に何かしら悩んで、部屋の前で立ち尽くす。
「……トモさん?」
「は、はいっ、すみません……!」
直したいのに、毎回かーくんに名前を呼ばれるまで固まってしまう。それに、「すみません」と謝る癖も直らない。
かーくんは空気を洩らすように微かに笑った。
もしかしたら、その時かーくんの口元に浮かぶ柔らかな笑みを見たいから、いつまでも直せないのかもしれない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 52