アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
6
-
「少しだけ、待ってくれるか?10分以内にかけ直す。」
「うん、大丈夫です。」
そう言って、一旦電話を切ってから、ベッドの上でドキドキ待っていると5分位で直ぐにハミドが掛けてくれた。
「シオン?今日は助かったよ、ありがとう。今は話していても大丈夫か。」
「は、はい。」電話の声でもハミドが目の前にいるような気がして、ベッドの上で正座になる。
「次に会う約束をしたい。明日は学校だろう?何時に終わるんだ。」
「えっ、そんなに早く?いや、そんなに急がなくても‥俺は次の休みでも、しかも大げさに礼なんて、全然いいですよ。」
「俺には会いたくないか?ずっと他人行儀に敬語だから、もしかして迷惑なのか?」
「いやいや、別にそういうわけじゃなくて‥てか他人行儀にもなるでしょう、会ったのは今日初めてなんだし、こんな風に話すのすら緊張しますし‥でも、電話のほうがハミドがこうして沢山話してくれるから、ずっと思っていましたが、日本語本当に上手ですね。声が沢山聞こえて、嬉しい‥です。」
すると電話の向こうで一瞬息を呑む音が聴こえた。
「ハミ‥ド?」「嬉しい、か。俺と話すのは嬉しい事だと思ってくれるんだな。シオン、やはり明日、会いたい。何時に出れるかわかれば迎えに行くから、学校を教えてくれ。」ハミドって物凄〜く押しが強いなぁと思いながらも、特に予定も無いので場所と時間を告げると、とても嬉しそうな声で「では、シオンの学校の校門前で4時に待っている。絶対に他の用事なんか、入れるんじゃないぞ。」と怖いくらいに念を押された。
それから、何度かまだ話していて大丈夫か?と確認しながら、ハミドは美術品の話をしてくれた。海外にはもしかしたら日本オタクみたいなジャンルがあるんじゃないかと思う。何とかって人の墨で書いてた掛け軸が、京都で見たのと違うからあれは弟子の作品ではないかとか‥そんなのねぇ、普通の日本人には分からないよ。その話題は流石についていけなくて謝ると、いや謝るな、むしろ話し過ぎたとすぐに話題を変え、日本の和菓子は甘さが上品で好きだとか、僕は逆に海外のドーナツが好きだよなんて話で盛り上がり、あっという間に二時間近く話してしまった。
もうすぐ父が帰ってくれることを告げ、電話を切るとちょうど父が帰ってきた所だった。
「ただいまー、士恩。」
俺は父さんに夕食を出すと今日の話をし始めた。
「父さん、お帰り。今日ね、友達が出来たんだ。海外からの留学生。凄い日本語ペラペラで一個上の男子。」
「へぇー、グローバル化だねぇ。士恩が楽しそうで良かったよ。もしよかったら、父さんが遅い時は遊びに来て貰ってもいいからな。」
「うん、ありがとう父さん。」友達が出来る度、父さんに報告すると、いつもこうだ。俺が、一人で家に居ると、寂しいんじゃないかと思っているらしい。お互いを思いやりながら、ここ数年、父子ふたりっきりで、暮らしている。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 685