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side ハミド
電話を切ると、カリフがジト目で俺を見ていた。
『一体、何時間話せば気が済むんです?殿下は。』
『そんなことより、明日は車で流星学園前に16時に到着するには、俺は何時に出ればいいのか、スケジュールを立てろ。』
『はぁ!?何を勝手に、また明日も気まぐれプランを立てているのですか!警備の関係も大変なんですよ。』
『分かっている。明日までに今後どうするか、護衛や側近と話し合いを持って善処すると約束する。許せよカリフ。』
俺の身の安全を第一に考えてくれる側近に、分かっていても譲れぬからこそワガママを言う。
『許せと言われたら、許すしかないですね。まぁ命令されたら何でもやりますが、その言い方はとてもズルいですよ、殿下。』
小さく笑って肩を竦めるが、カリフは優秀だ。
きっと、何とかするだろう。
執務室へ控えめにドアをノックする音がし、許しを得て中に入ってきたのは昼間シオンにつけ尾行させたカリフの部下、シェザードだった。
シオンの情報を早く聞きたくて仕方ないという俺の表情を見て、ひとまず小言を言っていた口を噤むあたりはカリフの優しさだ。
シェザードは、興味深い報告をしてくれた。
美術館で別れたあとに、シオンは何軒か洋服屋に寄り、手には取ったが買わなかった服が何点かあった。
シェザードは、それらの商品を写真に全て控えていた。
次は、ドーナツ屋さんに行ったが、メニューはシオンの中で決まっているのか、すぐ注文して一番シンプルなドーナツとコーヒーを選び、温めて食べていたという。
更に英会話、日常で使う本も数冊控えてあり、そこから一冊選んだという。
シオンが買った本を掴みパラパラ開いて見ると道案内の例文があった。
ひょいと、カリフもそれを見てクッと笑い出した。
『彼、典型的に外人苦手そうでしたね。こんな本を読んでも、声を掛けられたらまたフレーズが出ないと思いますよ。努力する姿勢は、大変好ましいですが。』
『ほぉ…お前が誰かを褒めるのは、珍しい。』
『そんなことはないですよ!シェザード、なかなか良い報告だった。』
カリフは照れながら部下に声を掛け、労った。
しかし、彼の報告はこれに留まらず、シオンのマンションに付いて行き、部屋番号まで突き止めていたという。オートロックではなかった為、簡単に入れたそうだ。また隣の部屋が売りに出て居たため、マンション購入を検討している風を装い、管理人から色々聞いたという。
母親は5年前に他界し、父一人子一人で親子関係は良好‥等々‥どんどんシオンに関する情報が入って来るが、あとはもう必要無さそうだと判断し、部下のシェザードを下がらせた。
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