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ハミドとのことがあってから数日経って、俺の通学路にドーナツ屋が出来た。
店長さんは外国の人みたいでチラシを配っていた。
開店だけのセール価格だと思ってとりあえずは受取り、よく見ると流星高校生には時間限定で割引価格と書いてあり、薄っぺらいカードも引っ付いてあり年間パスポートとあった。他の店舗のドーナツセットは単品よりはお得程度だけど、このカードはそこから更に見せればいいだけで毎回割引してくれる。そしてポイントまでつくとなれば、毎日は流石に来られないけれど、ちょくちょく寄り道する事になるだろう。
何よりも、ハミド‥との思い出の味‥‥
服の下にハミドがくれたネックレスを触る。
何日か経って、より一層あの日の事が鮮やかに蘇る。どうしても忘れられない、あの不遜な態度も優しい言葉も。
家に帰ると、父さんが珍しく居て。どこいったかなー?困ったなーとかやっている。
「どうしたの?父さん、今日はえらく早いね。」
「お帰りー士恩。実はさぁ、父さん会社で色んなシステムを作っているんだけど、それを別の会社でも導入したいって契約が入って。場所が栃木なんだって。なんかほら、外国の会社ってさ地震とかも不安らしくてメインのコンピューターは地震に強そうな土地にしたいとなこだわりがあるみたいなんだよね。俺は営業じゃないし無理ですって断ったんだけど、担当さんが父さんがいいって言ってくれたそうで、もう張り切っちゃう。一応3泊4日の予定だから、月曜日には帰ってくるね。‥というわけで、荷物詰めなきゃなんだけど、旅行なんて滅多にしないから勝手が分からなくて。」
「いいよ、父さん。仕事のもの以外は俺がやるから。でも、外国の会社なんて珍しいね」
「うん、日本の会社を外資が買収して、それに伴う変更らしーよ。日本の経営手法はそのままだけど、お給料は実力主義だから、その為に父さんのシステムも必要なんだって。このシステムを導入したら実力があっても実績をアピール出来ない社員の為になる意義のあるお仕事ですなんて、口説かれちゃったらもうね〜。」担当の人に言われた事が余程嬉しかったのか、父さんはもう栃木に向けて楽しそうに夢中で話している。
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