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「これからハミドの見舞いに行ってきます。」
「えっ‥‥ハミド、どこか悪いのですか?」
「私も状況はよくわからないのですが体調が優れないそうで、学校も休み、別荘で静養するとの事でした。ドライブがてら、様子を見に行こうと思いまして。」
軽く別荘って言ってるけど、ハミドってやっぱりお金持ちなんだな。
「でも学校まで休むなんて、大変な状態なんじゃ‥」
「そうですね。彼は風邪一つ引かないようなひとですから、なればこそ、健康を過信していきなり大きな病気に掛かるという事もよくあることです。友人としてもとても心配です。」
ますます青くなる、俺を見て神妙な顔をしているカリフさんにいても立ってもいられなくなり、「俺も連れてってくれませんか?」とお願いした。
「はぁ、別に私は構いませんが、日帰りではいけませんよ?今日はあちらに泊まる予定ですから。」
「大丈夫です。父は仕事で家を空けていますし、俺も明日から学校は休みだから」
「そうですか、ではすぐに経ちましょう。ご自宅に送りますので、着替えだけお持ちください。バスタオルやパジャマ等、備品の類はあちらに全て揃ってますので。」
途中、サービスエリアに寄ると、ここからは暫くトイレがないので済ませてくれと降ろされた。長時間運転しているカリフさんに何かお礼がしたくて、売店で飴とガムを買った。
運転しているカリフさんに飴かガムかを聞いたら飴がいいと言うので、包みを取り、口を開けてと聞くとちょっと驚いてから、嬉しそうにあーんと開け、人差し指と親指でつまんだ飴を、口の中に入れると
「どうも、ありがとうございまふ。」コロコロと、飴を転がしながら楽しそうにお礼を言われた。
「こちらこそ、ありがとうございます。図々しく、一緒に行きたいだなんて言い出したのに。運転しないので分からないんですが、ずっと快適に乗せて貰っているし。カリフさん、年上だからこの敬語も本当は疲れるんじゃないかと」
「敬語は仕事上必要な事なので、全く問題は無いですよ。しかし、友人同士ではかえって余所余所しくなる、と聞いた事があります。」
「そうです、そうです。もし良ければ、もっと砕けた話し方をしてくれれば嬉しいです。」
「そうですか。では、表現などおかしいところがあったら遠慮なく指摘してくださいね。そしてシオンも、敬語はやめてください。それが条件です。」
「うん、分かった!ではカリフさん、宜しくね。」
「ふふっ、では、急いで目的地まで行きま‥行こうシオン。」
カリフさんと一気に距離が縮まった気がして嬉しくなった。
ハミドの別荘は山の中で、気がつけば辺りは真っ暗だった。
別荘の中は電気も殆ど付いて無さそうだったし、人の気配も無さそうだった。
カリフさんは後部座席から、花束やお見舞いの品を持っていった。
手伝うといったけれど、一人でも大丈夫だと言って次々に運び込んでいた。
リビングの明かりだけつけると目の前には使われていない暖炉と、大きなテーブル、ソファが並んでいて、人の気配は無いのに、家具には埃一つ被っていない。
無人ではなさそうで安心した。
ポットにお湯もあるから、コーヒーでも入れようか?と聞かれたけで、ハミドの様子のほうが心配だ。
「シオン、ハミドは一番奥の部屋で寝ているよ。部屋まで案内しよう。」
「ありがとう、カリフさんは?」
あんなに気まずい別れ方をしたので、ハミドと二人っきりになりたくない。
「あぁ、私は花を活ける花瓶を探したいから、シオンは先に部屋に入っていってね。」花を活けたらすぐに来るだろうと思い、先に部屋に入ると、カリフさんは満面の笑顔で「では、ゆっくり寛いでてね」と、ドアを閉めた。
本能的に何か嫌な予感がして、閉められたドア開けようとするが開かない。
完全に閉じ込められたと思った。
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