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「ハミドって、何者?」
風呂から上がって、台所を見つけると、鍋や冷蔵庫にビーフシチューやら、パエリアやら、サラダやらとこれでもかという料理が用意されていた。
ハミドは、行儀悪く一つずつ指で掬っては味見をしているようなんだけど‥味見というより、毒味?しているようにも見える。
確かに友人のカリフさんは、この別荘に閉じ込めてから、普通は考えつかないほど本気の嫌がらせをしている。
しかし、ここまで車で来た時も電話で話した時も、勿論今でも、そんな悪そうには人には見えなかった。
そもそも、二人はどんな関係なのだろう。そこまで考えてふと気がついた。
ハミドの事を俺は何も知らない!
日本が大好きな外国人で、京都好き、船が好き、複雑なご家庭だと言うこと、年齢、友人はカリフさん。そしてこの謎の別荘。手がかりもありそうで全くない。
こうなったら本人に聞くしかない!
真剣な俺の顔をまじまじと見ながら、一瞬目線を上にあげる。上に何があるのかと同じ方角を見たが、ただの吹き抜けの天井だった。
そんな俺に淡々と返した返事がこれ。
「料理に変なものは入っていなかった。食べるぞ。」
少々拍子抜けしながら、料理は俺が温め、ハミドは爆発で散らかった所を片付けるという分担を提案した。
俺たちが閉じ込められていた部屋と台所は部屋3つ分の距離だが、なんせ通路にまで飛散したものが転がっているのは危ない。ハミドは部屋の片隅にあったお掃除ロボットを発見するとそれを使って掃除を始めた(実質何もしていないに等しい)
あらかた片付いたので、テーブルに片っ端から料理を並べて、椅子に座って両手を組む。
ひたすら言葉を待つ。
ふと何か思い出したようにハミドが立ち上がり、俺の後ろに廻った。
チャリっと音がすると、ハミドに貰った地球型のネックレスだった。
自分の席に戻ると、「シオンに、よく、似合う。」ハミドが嬉しそうに微笑む顔は見とれるくらい綺麗で、どんどん体温が上昇し、顔が火照るのを感じた。
「まずは、食べてから話そう。」
優雅な仕草でナイフとフォークを使い、料理を食べ始めた。
ふと、いつの間にか胸ポケットに入っていた携帯電話の着信のランプが着いていることに気がついた。
「ハミド、電話でしょ?出たらいいのに」
ハミドは携帯電話の通知を確認すると、嫌そうに
「いや、いい。カリフだ。」 と言ってポケットに戻そうとした。
「えっ!カリフさんなの!?じゃあ、俺は話したいから、その電話俺に貸して。」
そういうと今度は怒ったように、「カリフと何を話すつもりだ。電話の前に、質問内容をここで話せ」と命令口調で言い放った。
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