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「やぁ、シオン。色々大変な思いをさせてしまったね。」
カリフさんは、今日は雨だね位の軽い調子から始まった。
「カリフさんは、嘘をついて、俺を騙したの?」
震えながら聞くと
「シオン、覚えておいて。嘘はつかないよ。多少の誘導があった事は認めるけれど。
君との事を、私には船酔いしたことにしたと言ったそうだね。私はあの時点で、二人の関係に何があったか知っていたよ。ハミドのほうが余程嘘つきだ。
いつか天罰が下るね。それは今かも知れないけれど‥と、まずはいくつか答えよう。
この別荘は彼のお兄さんの持ち物なんだ。
二人は私から見ても思い合っているように見えるけれど、すれ違っているようだからと相談してみた。
そしたら快くここを貸してくれてね。」
「具合が悪くて、静養しているって‥」
つい、責めるような口調になってしまう。
「それは彼の周りの友人に聞けば分かるよ。ここ数日は自室で仕事も勉強もこなしてはいたけれど心ここに非ずといった感じでね。メンタルが疲弊していたよ。具合が悪いのも嘘じゃない。
あの薬は新薬で、まだ製品になるか分からない実験の段階なんだ。こういう薬を欲しがる人間も世の中にはいるけれど開発しているのはその道のプロだから、きちんと使えば命にかかわったり中毒性のあるものではないから安心して。
ハミドは薬に耐性もあるし、どんな副作用が出るか私にも分からない。体調の心配はしていたよ、勿論。」
なんだかうまく言いくるめられている気もするけど、誘拐されたり監禁されているわけでは無さそうだ。限りなくグレーに近いゾーンだけど。それにカリフさんがハミドのことを大切に思っていることは電話越しにも伝わってくる。信じよう。
「で、自分でもやり過ぎたかなと思っているんだけど、ここ、日曜日の朝までは開けられないんだ」
「はぁ!?」
「だから、それまでに仲直りして欲しい。これはシオンの友人としての願いだよ。」
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