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ハミドは携帯電話で時間を見ると、何か考えごとをしてたようだが、俺の視線に不安を感じたのか、ふっと柔らかい顔で「大丈夫だ、ここにいろ。」と言って、頭を撫でると席を立つとスタスタ歩いて行った。
俺も少し遅れて玄関に行くと、ベージュの上下にサバイバルゲームのような装備をして、ゴーグルのようなもので顔を隠しいかにも不審な奴が立っていた。
別に玄関を壊したとかではなく、ドアの向こうに、巻きつけてあった鎖やらロックされたものやらを取っただけのようで、危ない感じはなかった。
ハミドが近づくと、顔周りの装備だけ外して目と鼻と口だけが抜き取られた状態になった。
驚いたことに俺とそんなに変わらないか、むしろ俺より年下に見える。人懐っこそうな黄色の目の男の子だった。向こうは、ハミドを見て嬉しそうだか、ハミドは興味もなく伺うように見ている感じだ。
男の子が口を開いて話し出したのは、ハミドのいつも話す母国語でも英語でもなくて、一瞬なに!?と、驚いた。
すると、ハミドは驚いた事に、その言語でその子と会話を始めた‥
その子は何かを言ってるっぽいんだけど。ハミドは最初にそちらをちらと見ただけで腕組みして左右に視線を彷徨わせている。でも、俺の視線に気がつくと、大丈夫だと安心でもさせるように笑って首を少し振る。
男の子は今まで一切、俺の事が見えていなかったようだけど、ハミドの視線の先に俺が居る事に、気がついて、こちらを見た。
ペコリと頭を下げると、何かフレンドリーそうに目を、こちらに向け、興味津々と言った感じで俺を上から下まで眺めていたが、ニコニコ俺に近づこうとしたその子を、今度はハミドが手をかざして制す。
ハミドが話すと表情がピシッと固まって、そのまま凄い勢いでお辞儀をして別荘から出てってしまった。
ハミドが何か、叱ったりしたのかな。ちょっと可哀想だった。
ハミドは何か考えごとをして電話を取るとカリフさんと話し始めた。
ハミドは無意識かも知れないけれど、こういう時は近寄りがたい。さっきの子もだけど、ハミドの前を横切るのも、ハミドに許可を取るまでやっちゃいけない気持ちになる。
カリフさんとは何かを相談している様子で、俺が不安そうな顔をしていると電話で会話をしながらも、微笑んでくれる。地球のネックレスを触りながら、ハミドの低い低音が耳に心地よくて、待っていた。
暫く話して、電話を切ると「シオン、もう外に出られるぞ。」と、言ってくれた。
さっきの男の子はサバイバルゲームのフィールドと思ってて、迷ってうちに入ろうとしてしまったらしい。確かに通常ならだめなことかも知れないけれど、あの子が来てくれなかったら、日曜日まで開かなかった。
偶然にも、さっきの子が助けてくれた事になる。
俺は、感じのいい名も知らぬその子に、心から感謝をした。
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