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「わぁー!シャバの空気、うまーい、なんて‥」
ハミドがどんぐりみたいな目で俺を見てから、目を細めてククっと笑った。
「やっと、デートらしいことが出来そうだ。」
低音で艶のある、セクシーな声に不覚にもときめいてしまう。
まだ一泊しかしていないはずなのに、非日常的な事が多すぎて、ストレスも結構溜まっていた。気も張っていて、落ち着かなかったと、出てからなら分かる。
来るときは、ほぼ真っ暗で辺りはまるで見えなかったから、どんな山奥かと思ったけど。
小高い丘を見つけ、ハミドと一緒に登ってみたらあちこちに建物もあって、こんなに空気のいいところなんて知らなかった。
流石、別荘地だ。
俺の頰を撫でると、ハミドは「表情が明るくなった。」と安堵したように囁いた。
俺は、「気にすることないよ、ハミドのせいじゃない」と、肩をポンポン叩いて、小高い丘を見下ろしながら芝生の感触を楽しんでいた。
すると、後ろからフワッと大きな手が伸びて俺の身体をすっぽり包むと、ハミドが大事そうに俺に、抱きしめ囁いた。
「少しだけ、俺の話を聞いてくれるか?」
丘の真ん中にある太い木に二人で座り、俺は、ハミドの腕の中で話を、聞いていた。
ハミドの家庭が複雑なのは以前にも聞いたことがあったが、今日は‥もっと具体的な話だった。
「俺が物心ついた時には、2番目のアレフ兄上にいつも目の敵にされてな。カリフもよく知っているんだが、何かにつけて張り合い、俺に嫌がらせをしてきた。特に気にも留めてなかったが、ある日、アレフ兄上がどうしても許せない事を言い、それがもとで俺と殴り合いの大喧嘩をしてしまった。運悪く、それが父上の耳に入った時には、誰もが父上はアレフ兄上を殺すだろうと思っていた。
俺も震えが止まらなかったよ。
結局兄上は命だけは許されたが、それが理由で父上は、ヨーロッパに留学という形で家を追い出された。アメリカや日本に父上が来たら、家族だけで食事を取る。父上、義母上、ザイール兄上、俺。でも、アレフ兄上がヨーロッパに行ってから、アレフ兄上だけは絶対に、どんな場にも呼ばれない。父上がヨーロッパに滞在したとしても、アレフ兄上は呼ばない。だから、未だに俺を恨んでて、その‥‥‥」
ハミドは大きく息をつくと目を、閉じて言った。
「未だに、俺を憎んでいる。」
‥えっ?
「俺を殺したい程、憎み抜いている。」
「家族なのに‥、ハミドの父さんは、2番目のお兄さんを殺したい位憎んでいて‥」
「‥そうだ。」
ハミドは残念そうに言った。
「2番目のお兄さんは、ハミドを殺したい程‥‥憎んでいる‥の?」
「そうだ。シオンには、嫌な話を、聞かせたな。」
その顔があまりに辛そうで、俺はそれ以上聞けなかったり
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