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「あっ、ハミドだ‥」
「おー!知り合いなのか、紹介してくれよ。」
「どーだろ、来てくれっかな。ドハ待っててくれっか?」
「うん、荷物見といてやるから行ってこいよ。」
俺が、外に行くと腕を組んで、仁王像もかくのごとし!みたいな全身から迸る怒気を孕んだハミドが「こんなに人通りの目立つ店のなかで、大層いいものを見せて貰った。俺には身体に触るな、なんて言っておいてな。」
そう、あれは今ドハとこうして話す前の日の事だ。
更に遡るが、ついてきて欲しい。
運動着に着替えるため、シャツを脱ごうとしたら「あれ?士恩、虫さされじゃねぇ?」と、クラスメイトの真斗に言われ、見ると鎖骨下にびっしりうっ血したような跡がついた。なんかかぶれたのかもとか誤魔化して、その場はやり過ごしたけど、ハミドがキスとかした時に俺にその、抱くと残した跡だった。真斗はそういうの知らなそうだからバレなかったけど、凄く恥ずかしい思いもあって、ハミドからの電話に思わず「暫く俺の、身体に触んな!」とか、言っちゃった。
ハミドは多分、浴衣の時にかなりつけたかもって言ってて、もうしないはずだから、許せとかまた上から目線で許せってなんだよ!許せってぇー!っとブチ切れてしまい、昨夜はその後そのまま、話す事はないと、一方的に切ってやった。掛かってきた電話はもう絶対に出なかった。
ハミドにしてみれば、俺に謝りにでも来たのかも知れない。
ハミドが何か謝った事なんてないから、別の事かもしれないけれど‥‥。そうして俺は別にやましくもないのに、ハミドに非難されてる。
「俺のは、別に迷惑掛けてないよ。ドハがいいって言ってくれたから触ってるだけだし。何むくれてるんだよ、ハミド。」
「なるほど、許可を得れば触れるのか」
「いや、そんなに偉そうな感じじゃなくて‥」
何かを思案して、「分かった。」と、急に真顔になった。
「納得したのかよ。っじゃあ、ドーナツおごるから、機嫌治せよ。」
「シオンのおごりか、食べたいが、電話をしたい。先に店で待っててくれ。」
と、促されたので、店に、入った。
ドハは中で「あのかっけぇ人誰?」って聞いてくるから、「おれの一個上で、ハミドって言うんだ。ちょっと偉そうだけど、悪い奴じゃないし、ハミドを紹介するのって、父さん以外では、ドハが初めてだな」って、嬉しくなった。
暫くして、ハミドがドーナツ屋に入ってきたから、俺の、パスカードで、ドーナツとコーヒーを頼んで。二人を紹介した。
なんか、ドハがめちゃくちゃ緊張してる。
「誤解は解けたんだから、睨むのやめろよ、ハミド。」
「俺には触るなと言っておいて、こいつはシオンに触って貰える立場だからな。妬くのは仕方ない。」
「えっ、シオン‥触るなって酷くねぇ?」
「いや、ドハ。色々あんだけよ事情が。喧嘩とかじゃないから、気にしないでくれ。」
「ほう、シオンにとってあれは喧嘩にも入らないのか、俺は昨日かなり落ち込んだ。」
「だからもー!違うって。それよりドハの事だ。覚えてないか?別荘で、ハミドとドハ、会ったことあったよな。あんとき二人って何語で話してたんだ?」
ハミドが黙ると「スペイン語!」ってドハが嬉しそうに答えた。「俺には、スペイン語が特別になった日なんだ。」って、何故か嬉しそう。
そういえば、あの日のドハってハミドの事しか見えてなかったよな。
ハミドはあの時も今も、ドハの事はなんとも思ってなさそうだけど、ドハからみてもハミドってかっこいいなって思ったのかな。こんな事で妬くなんておかしいとは思ってるんだけど、ちょっとだけモヤモヤした。
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