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隣の空き部屋に引っ越し屋さんが、荷物が運び込んでいて、誰かが越してきたようだ。
暫くすると、玄関の所に見知らぬ外国人がいて、念の為、チェーンを掛けてドアを開けた。
「あっ、隣に越して参りました、シェザードと申します。これはほんの少しだけですが、宜しければご家族で召し上がってください。」
青と紺のチェックでポップなシャツにチノパンというラフな恰好で、俺の好きなドーナツ屋さんのテイクアウトだった。
「すみません、俺、なんかめちゃくちゃ感じ悪くて‥‥」
慌ててチェーンを開こうとすると、気にしてないように
「あはは、いいんです。謝らないでください。今、どこも物騒ですし、外国人の犯罪も多いですから、用心に越したことはないです。」
「いやっ、全然変な人じゃないの、すぐに分かりましたからっ。本当にすみません。良かったら、あがってくださいっ。大したものも無いのですが、コーヒーぐらいなら出せます。」
「えっ!いいんですか、ありがとうございます。荷物ごっちゃになってて、食器とか暫くは出せないんで‥じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔します。」
うちでコーヒーを入れて、レンジでチンして、ホワッホワになったドーナツを食べながら、世間話をする。
「前の部署は基本的に職場からすぐ駆けつけなきゃいけない、住み込みってのだったんですが、今度から通いになったので、一週間程前になりますかね、偶然見つけて、管理人さんに園村さんのご家庭の話まで‥聞いちゃいました。その‥」
「あはは、別にいいんですよ!管理人さん結構お喋りですけど、それだけここのマンションを愛してくれる人なので。オートロックみたいな最新設備はないですが、ここは変な入居者あまりいないので住みやすいですよ。」
「そんな感じがしました。この街自体も初めて済むので、色々教えてくだされば嬉しいです。」
「シェザードさんて、日本語凄く綺麗ですね。」
「えっ!そうですか、嬉しいです。上司がこうした話し方なので、すっかり馴染んでしまいました。ありがとうございますっ」
「今のお仕事はどんな事をされてるんですか?」
「はい、実は前の‥部署から移動になりまして‥。会社に籍は置いてあるのですが、今は、畑違いのアパレルの仕事内容に決まったんです。」
シェザードさんは寂しげに笑った。
洋服が好きで、しているわけじゃないって事かな?
「じゃあ、今は不安ですね‥」しんみりしていると
「いえ、また元の‥部署に戻して貰えるよう頑張るので、大丈夫です!」と力一杯宣言してた。
「洋服と言えば、俺…多分シェザードさんと背格好がそんなに変わらないですね。ドーナツのお礼にまだ袖を通していない服があるので、良かったら。」
「えええーー!そんなそんな、いいです、お気遣いなく‥‥」
「いえ、あの俺も失礼かなとは思ったんですが、その着ているのって俺の好きなメーカーさんだなって思って。セルシウス、ですよね?」シェザードさんが頷く。
「知人に親切な人がいてまぁ、似たテイストの洋服を沢山貰えたから、気に入らなければ、全然、返してくださって構わないんですけど。ちょっと待っててくださいね」
俺は即売会で貰った洋服から、幾つかシェザードさんに手渡した。
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