アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
97
-
ハミドがゆっくりと目を、覚ました。
「ハミドっ!気がついたか?」
じっと俺を見る。
なんだかまだ、ぼんやりしているようだ。
久しぶりに会って、また愛しさが募る。
濡れたタオルを額に掛けると、幾分楽に鳴ったのか、さっきより表情に余裕がある。
「先生を呼んでくる‥」
俺が立ち上がろうとすると必死な顔で俺の腕を取る。
口の形が、すまないと言っていた。
すまない?
ハミド、謝罪の言葉を、言ったのか。
ふざけんな、謝ってすむ問題じゃないと心の中では思うものの、いつもは釣り上がる眉毛をしゅんと下げ、自信あるハミドとは別人に見えた。
肌も、カサカサだ‥。
髪も栄養が無さそうに黒がくすんで見える。
少しずつ、顔を、撫でると気持ち良さそうに目を伏せる。
俺を眩しそうに見つめる緑の目だけは、ハミドの強い意識が戻りつつあることを、訴える。
交差する視線、
あと、もう一息。
何かハミドの意識を戻す言葉を選ぶ‥
そうだ。
「ハミドの作る、精進料理が早く食べたい。さっさと、起きて作れ。好きだよ、バカ。」
幸せそうにウンウンと頷くと、また目を、閉じて今度は、
規則正しい寝息をした。
俺は、ハミドの意識が一瞬戻った事を伝えに、先生を呼びに行った。
「峠は越したようです。今日も含め、数日は安静に。肺炎にもなりかけていたので、お薬も出します。しっかり寝かせてください。」
先生の言葉に一同安堵し、カリフさんはハミドの国に連絡を入れた。
ドハとシェザードさんは、この寺に、来たのは初めてだからと勝手が解らず案内してもらうという‥
なんだかんだで、解ってる。
俺と二人っきりにしてくれているんだ。
ハミドの身体を、拭いてみる。
汗をたっぷりかいている。
起きたら何を話そう、そっとハミドの唇に、自分の唇を押し付ける。
んんっと、そっと身じろぐが、まだ起きない。
緑の瞳の眠り姫、早く起きて。
王子と呼ばれ、かしづかれるハミドを、俺が姫に例えて目を覚ますのを待っている。
後で知ったら怒るだろうか。
俺もそろそろ眠くなり、最後にそっとキスを落とす。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
97 / 685