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「おかえりっ!ハミド。」
ハミドのマンションに遊びに行き、玄関を開けて元気な声で上がり込むと、
「ただいま、シオン‥」
感無量とばかりに掠れた声で囁く。その切なげな緑の瞳に吸い込まれるよう歩み寄ると、大きな手で、ぎゅうっと抱き寄せられた。
「わぁ!ハミド、ちょっと待って、おかずとか持ってるから。日本の味懐かしいだろうと思って、作りおきだけど、一回家戻って持ってきたんだから‥」
ユースケさんがくれた、マリンテイストの長袖に着替えて遊びに来た。
「ネクタイはね、外せるんだよー」そう言ってたのを思い出し、俺はネクタイの部分を外しカジュアルに着てみたんだけど、おかしくは無いだろうか‥。
デートで着るのもいいけど、やっぱり久々に会うから、ちょっとは‥可愛いって、思われたい‥。
男なのに、変なのかな。
ハミドは俺を見るなり、ぎゅうっと抱いて、頬に軽くキスをしたり髪を撫でたりと全く気がついてない。
しくしく‥。
「そうだ、パスポートはあったか?」
ハミドが確認する。
高校は三年になると、海外旅行がある。
それまでに作ればいいんだけど、父さんは俺の為にと高校に上がってすぐ作ってくれてた。
こういう所、俺も愛されてるなって思う。
いつか父さんにハミドとの事も言わなきゃいけないな。
でも、仲は良いはずなのに、なかなか言い出せないでいた。
ドハや真斗に気安く言えるのとは違うんだよな。
「うん、あったよ。」
俺がそういうと嬉しそうに、「そうか、時間が出来たら父上と母上にも会いに行けるタイミングで行こうな。両親は結構忙しい身で、なかなか家では会えなくてな。海外のほうが会えたりするのだが、シオンとの事は家で言いたい。」
あ…ハミドんちって…王様とお后様ってことだよな!
あれ!?これってまずいんじゃ…なんかテレビで見ると皇室のなんちゃらってすごい畏まったの着てずらーーって並んだりしてるじゃん。
ハミドは、俺が知らないと思って何か考えてるのかも知れないけど…困ったなぁ。
「ん、心配なことがあるようだな?」
相変わらず、心の機微を読む。
「何を着ていけば良いんだろうなぁとか。」
「特に、両親に会う以外の事はないからなぁ…うん?シオン、この洋服は可愛いな。随分シオンに似合っていて、可愛らしい。これでも大丈夫だ。」
あっ!気がついてくれた。
「神地さんが俺にって作ってくれたんだ。」
「ユースケが?ではこれが出展用の作品か」
「それとはまた別に、俺に似合うようにって、イメージで作ってくれたんだって。多分店頭には出ないやつだと思う。」
ハミドは何となくショックを受けているようだ。
「そ、そうか。シオンはこの洋服が気にいったか?」
「うん、俺のイメージにしては可愛らし過ぎると思うんだけど、この服だと何だかウキウキするし、楽なんだ。お手入れも教えて貰ったし、そういうのも楽しみかも。」
「そ、そうだな。よく似合うしとても良いと思うぞ。」
「ハミドは、神地さんのってどうだった?」
「着易いとは思ったが、カジュアルな場でないと着るのは難しいな。」
「じゃあ、気に入ったのがあれば、俺と出かける時だけ着てみたら?」
「そうだな。まぁ、仕事用はスーツケースにでも入れておけばビジネス前に着替えれば良いことだしな。考えてみよう。」
神地さん、ハミド脱おっさん計画、手応えはまぁまぁです。
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