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父さんに電話をすると、いつもと同じように遅くなるがハミド君も待ってるならなるべく早めに上げるよう頑張るねって嬉しそうに切った。
ハミドは、ちゃんとした手土産は何がいいかと聞くので、別に要らないよといったが大事な話だからと譲らない。じゃあ、ゴルティバナのチョコとかでいいんじゃない?といい、少し高めのそのチョコをお土産にした。
そして、うちに着くとハミドはポツポツと話し始めた。
「実は次の三連休、俺の両親に会って貰いたい。その前にシオンの父上に挨拶したくて…その、シオンが嫌でなければなのだが…。」
「父さんに二人のこと、いつまでも言えずにいるのは心苦しいと思っていたから…うん、ちょっと怖い…けど…。父さんが何も知らないほうが嫌だと思うから…。」
「シオンは、知られたくないままなのか?」
「俺、ハミドの事すら何も知らないよ?」
…黙ってしまった。
「ハミド、別に話したくないなら、いいよ?」
「違う。整理して話をしたかった。何から話せばいいか…落ち着いたから、聞いてくれるか?」
「うん…。」
そこから話してくれた事は最初は概ね、カリフさんが言った話と同じだった。
とても富める、豊かな国の母親を生まれてすぐに亡くした第三王子。
突然、アメリカ留学を決めて国を出て行ってしまったザイールさんを追いかけて、必死に勉強して自分もアメリカに渡ったこと。
そこで、活き活きと生活するザイールさんを見て、もしかしたら自分が国に戻って尽くさないといけないのは、ザイールさんではなく、王位かと思った事。
しかし、自分は王の器では無いと悩んで…。
俺と偶然出会って、それから沢山悩んで…
その権利を、王室の人間でいることも含め、放棄するつもりらしい。
「シオンの為ではない。俺が、そうしようと思ったからだ。」
ハミドはきっぱり言った。
「カリフさんには、その相談、していないんだよね?」
俺はいいようのない、不安に駆られた。
「よく分かったな。」
苦しそうに笑うと、そこにはある思いがあることを教えてくれた。
「俺は、自分の父親と、母親をよく、見ていなかったのかも知れない。俺が王にならなくては、ではなくて、俺が王になるためにあの二人は子供を作らないのかも知れないのだ…。
ザイール兄上が後を継がない事は薄々勘付いている筈だし、アレフは父上と母上の子ではない。俺が王になる時の妨げを作らない為だろうと、最近考えるようになった。
だが、俺はただの一度もなりたかったわけではない。ならないと国が周らないという責任感だけだ。
反抗期も特に無かったんだ、一度位はワガママを許して貰うつもりだ。
そして、多分それはザイール兄上に取ってもいい踏ん切りになると思う…。それは詳しくは言えない。兄上に取っても辛く苦しい事かも知れないが…それはご自分で乗り越えなくてはならないものだからだ。付いてきてくれるか?シオン。」
問いというより、懇願に近い響きだった。
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