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6月28日、晴れ時々雨。
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「…………初日から最悪。」
ポタポタと髪から滴る水。
体にへばりつく制服の不快感。
屋根の下まで来たはいいんだけど、ココドコ?
タオルなんて持ってきてないし、自分の靴を入れる場所も何もかも分からなくて、ちょっと途方に暮れている。
「っおわ!!?」
急にふぁさ~、と頭に何かが被さってきて視界が狭まり白くなった。
「探したぞー、ササヤマくん。」
咄嗟に振り払おうと掴んだそれは、真っ白なタオルだった。
それを首に掛けるようにゆっくりとずらし、チラリと見上げた先では、このタオルの発信元であろう人物がこちらを見下ろしていた。
うーわ、でかぁ…。
190ぐらいありそ…。
カッコ的にせんせーだよな多分。
「あ?初日から遅刻な上にタオルまで借りておいて、
なぁんも言うことないのか?ん?」
「ぇ、あっ…はぃ。すいません…アリガトウゴザイマス。」
長袖のワイシャツの袖を肘まで捲り上げ、クールビズとかいうやつなのかネクタイとかはしてない。
髪の根本が黒くないから、茶色いのは地毛か?
オールバックが緩く崩れたような髪型のせいか、ヤクザとホストの間みたいな威圧感バリバリのその姿を、上目遣いになりながら見上げる170センチの俺。
「良くできました。君の担任の菊池です、よろしくー。」
「よ…よろしく、お願いします。」
ニィ、と教師にしては少しタチの悪そうな笑顔を浮かべたその人は紛れもなくイケメンだ。
教師なのに色気とSっ気がうっすらと滲み出ちゃってる。
オレがちょいワル系好きな女子だったら、瞬時にときめいてしまうレベルだろうと予測できる。
女子だったら、の話だからオレはときめかないけど。
「せっかく貸してやったんだから頭ぐらい拭けー?
制服はダメだなそりゃ。貸出ししてやるからついてこい。」
「え、借りれるんですか?」
「おー。男子校だからなー…制服を貸し出さなきゃいけねぇような時も年に何度かはあるわけよ。」
そう、ここは男子校だ。
教師や事務員に至るまで女性は居ないらしい。
前の高校は共学だったからすげー変な感じがするし、健全な思春期男子からしてみると苦行かって話。
それにしても、男子校だから…ってなんだ??
不良とかがケンカして制服が破けちゃいましたーとかか。
血の気が多いやつも居るんだな、関わりたくねぇ。
タオルで頭を軽く拭きながら担任の後を追う。
備品庫の鍵を職員室で取ってきたらしく、カチャリ…カラカラ…と中へ入っていくのを背後から見てボケッとしていれば。
「廊下で着替えんのかぁ?こっち来ーい。」
「うぃっす…、失礼しまーす。」
「お、結構礼儀正しいんだなーえらいえらい。」
備品庫の一番奥の隅にその棚とクローゼットは置かれていた。
ゴソゴソと中を漁る担任に近づいて、ちょっと迷ったものの置かなければ着替えられず、スクールバッグを床にそっと置く。
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