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83 捲土重来(けんどちょうらい)
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祖母の葬式で長野に行って、千春と住むマンションを急襲して以来 姉は沈黙していた。
バビエ 否 高田が山手クリニックで診察を続けていること。
僕が 同性の千春と住んでいること。
について 自分が反対しているのに 誰も 姉の言うことをきかなかった ことへの 行きどころのない 不満。
そもそも 誰も姉の意見を聞く耳すら持たなかったことへの不満。
そして たぶん姉の心の中で
高田と千春の 瑕疵を探していること。
僕の母に パワーハラスメントで 従わせようとしていること。
更に 姉の子供が 幼児期特有の反抗期のハシリが出てきたこと。
姉の不満のメーターは許容量を越えていたのかもしれない。
前回 高田について 口出しできなかったこと 高田が優秀だったことは とても面白くない出来事だったのに違いない。
又 千春が もろ手をあげるように姉を誉めちぎったことも 出鼻をくじかれたに違いない。
姉は 優秀過ぎて 他のあらゆる 人 モノ が 自分より下位でないと気が済まないのだと思う。
仕方ないこともあるのに それは 腹に据えかねるのだ。
年齢は 逆立ちしても 逆転出来ない。だから 優秀な歳上には 近づかない。
友人で未婚だとしても 仕事バリバリの人間には たぶん近付かない。
折しも 父は 随分以前から計画されていた 地元医師会の講習 査察 を兼ねた慰安旅行で海外に出掛けていた。
その間 高田ことバビエと僕とでクリニックの診察を請け負うことになっていた。
父が経営している山手クリニックの建物は 地上三階建てで 土地は贅沢に使われているかもしれない。
クリニックはドウロ(道路)に面して 間口は広く 全面ガラス張りになっている。入口は さほど広くは無いが 待合室は全面ガラス張り越しに天気がよければ 燦々と光が取り込めるようになっている。もちろん外から見えないように ブラインドがかけられている。
入ってすぐゆったりした受付カウンターがあり 柔らかなソファーが 何列か並べられている。奥には廊下が延びていて 右手にはゆったりした洗面台とトイレのドアが並んでいる。左奥には診察室 更に患者が 休憩するためのベッドのある個室。患者用の検査着に着替える更衣室と続く内視鏡検査室。その奥にはクリニックに勤める受付や事務の女性の為の更衣室兼休憩室と洗面台付きトイレ。
又診察室も 問診をしながらリラックス出来るようなゆったりした患者用の椅子。その奥にカーテンで仕切られた診察台。
2階は両親が住んでいるが 元々は家族が住んでいたので 居室は僕らが過ごした子供部屋は狭いながらも3室。そして両親用に和室が2室。あとは リビングダイニングキッチン。
3階は 僕が将来結婚して家族で住む為か 洋室が2室リビングダイニングキッチン と風呂。トイレ洗面台の作りになっていて、広目のベランダまで有る。
そして 建物には 狭いが3階までを行き来するエレベーター。
まぁ 3階は 常駐してはいないが 週の半分はそこで着替えたり 休憩したり 時には 軽く何か食べたり そしてたまに 千春と過ごしたりしている。
3階の光熱費は別メーターになっているので もちろん僕が 支払いをしている。
大学を卒業する辺りでベッドを購入して キッチンや生活用品を買いそろえたりしていった。
姉が結婚してからは 姉夫婦が 心置きなく泊まれるようにと 僕の家財や服などは 全て3階に運び入れたのだった。
姉に子供が生まれてからは 2階の 子供部屋3室をぶち抜き 姉達はそこで寝泊まりしていた。
そう 姉達は 旧子供部屋でいつも 寝たり 赤ん坊の世話をしたり 時にキッチンで 他人の悪口をいっていたりしていた。
それの 何が 不満だったんだろう?
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