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千春が憧れた人
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仕事中 携帯が鳴った。
元ドライバー仲間の友人で今はタクシードライバーをしている、青葉という男だ。
千春が今の会社にアルバイトで入った頃からの 同僚だ。妙にウマが合って、その友人青葉が会社を辞めてタクシードライバーになってからも、時々千春に連絡を寄越す。
千春がタクシーに移動するかなり前から、タクシー乗務しているので、タクシーに付いては、細かいことまで、千春にアドバイスをしてくれた。
この青葉という男は、無類の女好きで、今は結婚しておとなしくしてるが、結婚前は なんと 五つ股。つまりは同時に5人の女と同時進行で交際をしてていた と いう ツワモノ 豪傑である。
しかも、それぞれの女から惚れられて、それぞれを満足させて、それぞれ他の女の存在を隠しおおせていたのだから、驚きだ。
千春は 確認してから 取り敢えず 放置にして 車を配送先に駐車して配送を終えてから 電話をかけ直そうと思った。
正行の病院だった。丁度配送が有ったし、正行の病院は駐車場も広い。
千春は時計を見た。仕事の区切りも良かったし、昼時だったので 病院内のコンビニで 昼飯を買い、車の中で食べてから 青葉に 電話を折り返し かけたのだった。
「遅くなって悪りぃ。今、ひといき ついたところ。青葉は 今日休みか?」
「おう、久し振り。仕事中だと思ってたけど、もうすぐ昼時だから いいかなって。」
「うん。久し振りだな。元気だったか?
ところで どうかしたか?何かあったのか?女の存在がバレたとか?」
「そんなドジはしないよ。円満にお別れしたよ。
ところでさ 千春。明日土曜日仕事か?」
「いや 明日は休みだよ」
「俺明日仕事なんだけどよ。千春昼前にでも時間作って俺に付き合ってくれ」
「青葉は仕事?それなのになんで?」
「明日は特別指名で 夜中から地方往復仕事して 昼過ぎに上がりなんだ。
それでな 千春に付き合って貰いたいんだ。なぁに 仕事最中にだから、すぐ終わるよ。
今も俺 T駅前でやってるから。
昼少し前に、隣の駅あたりから 会社に電話して 俺を指名してくれよ。迎車ランプつけて 千春を迎えに行くから」
つまり 青葉は 自分の仕事最中に 青葉指名でタクシーを呼べと言っているのだ。
「お前 今月売上 足りないのか?」
指名が有ろうが 無かろうが フリーの流しで 客を沢山乗せれば 良いことで。指名が多かろうが 少なかろうが 総売上の何割かが ドライバーの給料になる。
ドライバーによっては指名とか タクシーのお迎えを嫌がる者も居る。指定の場所へ迎えに行くと 客が道端で待っているとは限らない。店や病院等では 客を探して名前を大きな声で 呼ぶ場合もある。自宅への迎えでは 小道を通ったり階段を上がって ドアホンを鳴らさなくてはならない。
これが 結構ロスタイムになる。
1日10件の自宅への迎えで それぞれ無駄な時間が5分だとすると 総計で50分ものロスタイムになる。
50分有れば 天候次第で2,3組の近場だとしても流しの客を乗せることが出来る。
例えワンメーターでも 初乗り710円は確実に入金出来る。
お迎えで 時間をロスして大声で客の名前を叫んで 行先が、近距離では 余りありがたい思いには 正直言って ならない。
又 お迎えはお迎えでも 県内の中距離での往復が 一番ありがたい。中距離というのは片道 金額にして10,000円前後。帰りは空車にしなくても、良いし、客を探したり、駅待ちしなくても良いし。確実に濃い仕事が出来る。往復乗車の距離が長ければ、尚更だ。勿論 更に遠くの地方往復は更に ホクホクしてしまう。道端で 手を上げる人を見落とさないようになんて心配も要らない。
清算を細かくして支払い 空車 実車の賃走のスイッチもいれなくていい。
「とにかく そんなに時間は取らないから 昼まで少し付き合ってくれ。俺指名で呼んでくれ。時間次第じゃ 昼飯 美味いとこ奢るよ。」
明日は朝早くから 真弓さんは地方に出張だから、昼前にT駅周辺には 行ける。
千春はタバコを車の中で吸い終わって 車の外に出て、話をしていた。
「分かったよ。明日 昼前にはそっちに行くよ。タクシーコールセンターに電話してお前を指名するよ。訳わかんないけど 久し振りだし お前の策略にのってやるよ。
T 駅じゃなくてO 駅かもしれない。なつかしなO 駅は。
あの人はもう 居ないけどなぁ。」
昔 あの駅で
名前も 知らない どこかの 人。
妙に 目が合って
笑顔の素敵な 人。
青葉も知っている
あの人。
どこかの この空の下
何をしてるんだろう。
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