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朝早く 真弓さんは迎えのタクシーで出張に向かった。
正行さんを途中で拾って 空港に向かい朝一の飛行機に乗るらしい。
俺は 家のことを済ませて 横浜に向かった。車は駅の有料駐車場。久し振りに買い物をして 電車でO駅に向かった。
駅に着いてから、タクシーコールセンターに電話で 青葉を予約した。
乗車中とかで 20分くらい掛かりますとの返事。客を乗せているからだろう。ドライバー指名は、予約でもしない限り、こうして時間が掛かることがある。
なら、予約しておけって話だが、予約をするとその時間に行かなくては、とドライバーにとっては プレッシャーにもなるし、仕事が はかどらない。
例え客が手をあげてくれても、その客が、どこまで乗っていくかわからない。だから、回送表示で時間を潰すか、どこかに車を止めて、待機するしかなくなる。その時間 仕事ができなくなる。
昼間の駅待ちは、よほどの事がない限り、遠距離はない。後ろに仲間の乗務員がいるから、万が一 遠距離なら 仲間に譲ることも出来る。
今回のように おおよその 時間を個人的に約束していれば 駅待ちの仕事が青葉は出来ると踏んでいた。
だから ドライバー指名でいくら待っても構わないので 青葉に と ドライバー指名をタクシー会社に電話しておく。
タクシーを呼ぶのは 急いで行く処が有るか、歩きたくない、バスに乗りたくない人間だ。
だから単にタクシーを呼べば、近くを走行している フリー つまり駅待ちをしていない車が迅速に来る。
今は車載カメラがあるから、スマホに電話して ドライバーに 頼むよ なんてことは 出来ない。
会社としては きちんと業務に励んで欲しいからだ。まぁ余程の事がない限り、車載カメラの映像はチェックしたりしないとは 思うが。
駅前から続く商店街をフラフラ歩く。
相変わらずおしゃれな街だ。何十年か前 商店街が 皆海外のなんとか風に変わったんだ。畳屋さんまで 真っ白い店のお洒落な店構え。街灯もなんとか風だが 道も普通の味気ない色じゃない。
街全体が どっかの外国にでも来たのかって雰囲気だ。
まぁそれで街が活性化したから。良いんじゃねーか?住居表示が変わって町の名前も変わったんだよな。バブルの頃は 億ションが沢山有ったなぁ。白いお城みたいなマンションが あちこちにあって 毛皮着たマダムみたいのが ちいせぇ犬を散歩させてたとか 聞いたことがある。
確かに便利な土地だよな。渋谷まで30分で行けるし、横浜にだって10分ちょっと。駅の近くには 区役所もあるし、街並みも綺麗。
さてと 駅前に
そろそろ行くかな。
~~~~
駅近くの 裏通りみたいな 処で待ち合わせだ。
おっ来た来た。迎車ランプが点いている。
ドアが開いておどけた口調で
「お客様お待たせ致しました。安全のためシートベルトをお願いいたします。」
「はい 承知致しました。」と千春も答えた。
「ところで どーしたんだよ。」
「おう、ま、千春よ。今乗ったばっかりで悪いが 奥の席に移れ。俺の真後ろな。実はもう一人乗せるからよ。行き先は この辺 ぐるぐる 適当に走らせるから。
賃走 実車 にするけど 料金は俺のおごり。」
「いや 走るんなら 俺払うよ。
青葉よ 俺も 今日は お前に話が有るんだ。俺の引越と 俺 名前がさ 変わったんだ」
と 話の途中で 青葉が
「あっ 居た 居た。もう一人の乗客。」
車を止めて タクシーに乗り込んで来たのは。
青葉がその人に 既知の様子で気さくに話しかけた。
「おはようございます。待ちましたか?遅くなってすいません。どうぞ御乗車下さい。」
昔
O 駅で 散々会った人。柄にもなく 褒めちぎった。どっかの病院で 介護士 だか 理学なんとかだか やっている女。
O駅からたぶんK駅方面に 歩いた処に住んでいる女。
好きなタイプとも言った。清潔感溢れて すくっと まっすぐ歩いている女。スマホを見ないで ポニーテールの女。
千春は 固まってしまった。
自分が真弓という伴侶 パートナーを得て 入籍をして 転勤をして 一緒に住んでる話を しようと していたのだ。
真弓との関係を 男同士という 生々しい話まで踏み込んで 話をすべきか 真弓との 昨夜の激しいセックスまで 思い出して 腰の奥の 疲労感と共に 思い出して 赤面した途端の 彼女の登場だった。
下を向き 真弓との昨夜の情事に赤面する千春を 青葉と彼女は
どのように 捉えた の だろう。
そこに 千春への 好感度を あげた 彼女に 罪はない。
千春の様子に 喜ぶ 青葉にも 恐らく 罪はない。
このあと 青葉から
事前に聞いた千春の 気持ちに 恥ずかしげに 答える 三十路の彼女の言動にも 罪はない。
先日 いや昔から青葉から
千春 女房貰ったか?貰う予定はあるか?
彼女出来たか?
の 問いかけに ねーよ
と 答えた千春は 嘘は 言っていない。
千春は
彼女の ノリノリの 雰囲気に
ノリノリの 会話に
はっきり応えることが 出来るような
気持ちに
なれなかった。
ただ ひたすら この顛末を
真弓に 隠し通せる自信は無いと思った。
どのように どうやって 説明したらいいか 途方に暮れるしかなかった。
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