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その数日後 アクリルの壁を隔てた 上からプールをみていたら インストラクターが プールサイドを歩いていた。
プールからちょうど上がった彼と話をしている。
ゴーグルを取りキャップを外して ベンチに座って インストラクターにも座るように促している。インストラクターが 遠慮してやんわり断っているようだ。するとすっくと立ち上がり ベンチの端に置いた小銭を手に自販機に小走りに向かった。
やがて 缶コーヒーを手に戻ってくる。
一本をインストラクターに渡した。
インストラクターはしきりに 断っているようだ。
困ったように 思わず見上げた インストラクター。
少し 視界の悪いアクリル壁は うっすら白くなっていて 向こうから 見えるだろうか?こちらはアクリルに張り付くように顔を寄せている。
インストラクターの困惑が伝わったのか 会員の彼もこちらを見上げた。
そばでインストラクターが 困ります とか 規則で とか 言ってるのだろう。
そして上を見上げた 会員の彼が オーナーが居るの?くらい 聞いたんだろう。
微かにインストラクターが頷いたから。
すると 会員の彼は 僕の方に向かって コーヒー缶を掲げ 片方の指でOKマークをして 首をかしげた。
つまり インストラクターの代わりに 許可を求めたのだろう。
その彼が こちらを見上げて 首をかしげて ねだるような顔。
可愛いなぁ!
思わず 目の前のアクリルに 僕は 大きく丸と描いて なぞった。
すると どうだろう。小躍りしてインストラクターの肩を叩いている。
なんて無邪気な。
なんて 素直な。
なんてストレートな。
ガッツポーズまでしている。
改めてインストラクターに缶コーヒーの蓋まで 開けてやって 差し出している。
自分も缶コーヒーを 飲むと 見えないだろう僕に向かって 深々と頭を下げ 缶コーヒーを 掲げ ニッコリ 笑った。
ああ なんて 可愛い 笑顔だ!
こんな笑顔は初めて見た。
そう そんな風に 笑っている顔は 天使みたいだよ。
なんて優しい人間なんだろう!
性格が 滲み出ているよ。その笑顔に。
インストラクターが彼に頭を下げた。
すると 押し止めるように インストラクターの肩を叩いて 再び僕の方を指して遠慮するように 首を振っている。
要は自分ではなく 僕に感謝しろ とでも いっているのか?
慎ましやかな人間だ。傲慢という言葉は 彼には ひとかけらも 無いようだ。
先程の 本当に可愛らしい笑顔。こちらまで幸せになるような とろける笑顔だ。
こんなに 人を 夢中にさせるなんて。
彼と 話をしたい。彼と。
名前は?年は?
どこに住んでいるの?
愛する人は 居るの?
見ず知らずの プールの君。
好きだ。
好きにならずに いられない。
しかし
その日を境に
君は スポーツクラブに 来なくなり
スポーツクラブ 檀は 閉鎖した。
~~~~~~~~~~~
数年後
僕は 親友の病院に勤務していた。
実家の医院も少し手伝っている。
実家の医院は 週末勤務。週末そのまま実家に泊まる。それなら 実家に引っ越して 通うか。と 少しずつ 引っ越し作業を始めた。
或週末。父が風邪を引き 診察を引き受けた。受付の女の子が 新患を知らせてきた。
新しいカルテに 名前を書き込みながら 診察室へと 入るように 促す。
ノックがして 男性患者が入ってきた。
椅子に座らせて
「はい どうしました?」
と聞くと
良く通る声で 熱と倦怠感と……
カルテに名前を書き終えて患者を見ると
えっ?
もしや まさか えっ?
声が 上ずって しまいそうだ!まさか?
あっ そうだ 体を確認しなくちゃ
脱いで って おかしいよね。
あー 症状を聞かなくちゃ
「食事は?下痢とかしてませんか?
とりあえず 上を脱いでください」
はい と素直に 彼は 上を脱いだ。
あーーー。
この乳首。この綺麗なからだ。
と と と
思わず 胸に触ってしまった。
やっぱり綺麗な からだ やっぱり綺麗な乳首 やっぱり綺麗な顔
やっと やっと やっと
めぐり会えた。
プールの君。
なんて可愛らしく笑うんだろう。
なんて 可愛らしい人なんだろう。
なんて良い声なんだ。
間近で見るくちびる 間近で見る舌 間近で見る その整った顔 しなやかな髪 無駄の無い肩 そしてこの甘さを感じる匂い。
柔らかなその体を 抱きしめたい。
その 名前は 千春。
やっと 会うことが 出来た。
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