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「あ 千春 ごめん。」
「いや 俺 あれから 看護師さんに 入院手続きお願いしますって言われて。看護師さんは 社長を病室に連れて行っちゃったし。受付で 入院の説明受けて必要なもの 売店かコンビニで買ってくださいって。それら買って 社長の携帯で奥さんに連絡して……」
「うん わかってるよ。ただ 社長って人が 千春のこと自慢げに 僕に言うから なんか すごくね、カッとなってさ。」
「あの社長 2年くらい前 仕事が無くて 会社を閉めようとしていたんすよ。何気なく 地方タウン誌の人に紹介したら 又会社が上向きになって 広告代理店の人に たまたま俺 聞かれて 紹介っつうか 話をしただけで うまく繋がって。そしたら 感謝されちゃって。でも うちの会社に 全部依頼が来るように 便宜をはかってくれてるから おあいこ なんすよ。」
うんうん もう 止めよう。
僕は 頷いて もういいよ。
と言った。
仕事をしている千春を 想像すると 辞めさせたくなる。
だから この話は 止めよう。
気持ちを切り替えるように 夕飯の話題に無理矢理切り替えた。
聞きたくない って訳じゃ無い。
興味が無い訳じゃない。
千春には千春の仕事にかけるスタンスがあるだろうし 矜持もあるだろう。取り上げたくない。取り上げる資格もない。でも 千春から 仕事を 取り上げてしまいたい。
だから 千春の 仕事に関しては 僕は不可侵にしよう。
その夜は お互い なにか含んでいるものを 無理にでものみ込んで ぎこちなく夕飯を済ませ ぎこちなく就寝した。
僕だって 面白くない夜はある。
嫉妬に狂いそうになっている。
しかし 千春の仕事は 尊重したいから 敢えて 仕事に関しては触れずに 終始 下らぬテレビを話題にしたり 明日からの出張の支度に 忙しい振りをしたのだった。
千春は千春で 年末年始は仕事があるらしく 師走の中途半端なこの時期に 早めに振替休日を取るらしい。
じゃ一緒に出張先に行こうと 誘ったが友達の引っ越しを手伝うのだという。
あの高校時代の友達の一人らしい。
ヨシヤスでもなく アキラでもなく
持田のもっちゃんでもなく
……もちろん 千春に惚れている もっちゃんだったら行かせないけどね。
萩ちゃん一家の引っ越しだとか。
そういえば 今年の夏に お父さんが亡くなって 家族葬をしたとか 言っていた。
自営業だったらしいが お父さんが亡くなったから 店を閉めて 一家は 店舗と自宅を売り マンションに引っ越すらしい。
千春の関連会社が引っ越しを請け負うらしく 千春も手伝うのだという。
僕も今回の出張は少し長くて 3日程 居 なくなる。
いつもなら たっぷり 愛し合うつもりだったが
病院の社長のこと。
そして 何もないと思うが 萩ちゃんと会うかと思って嫉妬がむくむくと沸きだしそうで。
そんな千春のことを考えると ひどい 抱きかたをしてしまいそうで。
それに翌日引っ越し作業をする千春の体力を奪う訳にもいかない。
ベッドでは 軽く 努めて優しく
愛しているよ おやすみ とささやいて
軽く キスをするだけに とどめた。
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