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僕は 苦行を自ら強いている。
一緒に入った風呂は眼の毒なんてもんじゃなかった。
抱きたい。抱きたい。滑らかな千春のきれいなからだ。可愛い乳首。
髭を剃る男らしい行為でさえ 煽られてしまう。千春のすべての行為が そそられる。見ていられなくて 早々に風呂からあがってしまった。
抱きたい。でも なじってしまいそうだ。いわれなき 罪を 千春に 負わせてしまう。僕の嫉妬をぶつけてしまう。僕は 千春を大切に可愛がってやりたいのに 気持ちよく 快感に溺れさせたいのに 責めて攻めて 責めて しまうに違いない。からだに 傷を負わせてしまいそうで自分が怖い。
抱き潰しても尚 求めて求めて しまうに違いない。千春に罪はないのに 嫉妬で気が狂いそうなこの 感情を押さえる自信が無い。
矛盾しているのは承知している。だが 千春に 仕事なんかやめてしまえ と 言いそうで。
千春に渇望しながら 足りなくなりそうで 箍 が外れてしまいそうで 感情が暴走しそうで。
千春の欲情の兆しは 潤む目に 現れていた。お願いだ 千春 そんな目をしないで。抱きたいよ。抱きたいんだ。千春の中に 山ほど 注ぎこんで 僕の 胤を孕ませてしまいたい。
僕は 一足先に風呂を出て タオルで急いでからだを拭いて トイレに駆け込んだ。
みるみる間に勃ちあがるモノを扱き あっという間に吐精し、空しく リビングのソファに沈みこんで脱力した。
しばらくして 千春がリビングに来て 飲み物を飲んでいる。風呂上がりのしっとりした 千春の肌を 見ないようにして タオルでゴシゴシ頭を拭いたが 妄想してしまう。
やがて ベッドで千春を抱き込んだ。
腕に囲っておやすみのキスは 許されるかな。
千春はおとなしく している。
もし 強請られたら 止まらないかもしれない。
しかし やがて 規則正しい寝息が聞こえて来た。
しばらくして 千春が 真弓さん とつぶやいた。
「なぁに?千春」
「………………」
千春の返事が無い。
少し起き上がって 薄暗がりの中 目をこらして千春の顔を みると すーすー 無防備な顔で 寝息をたてている。
寝言か………
しばらく見ていると まぶたが 少し動いて 眉を寄せた。
そして その閉じられた まなじり から 涙が にじみ出した。
いとおしい。
寝言で 僕の名前を呼ぶ千春。
夢の中でも 現実でも
千春を泣かせてしまった。
ごめんよ。
僕は 怖いんだ。
千春を いつも 側に 置きたい。
僕の知らない千春を 他人から 知らされることに 我慢出来ない。
今夜は本音を 言い放ってしまいそうで。
千春も会社で 無くてはならないポジションに なっていくだろう。
出世なんかしなくても良いんです。って千春は言うけど。
出世しろとは言わないし 出世しなくても良いよ とも言えない。
僕のわがままな 願望だとは 承知している。勝手な独占欲だと承知している。
本当は 千春の友人が 千春と 呼んでいることさえ 腹立たしい。
正行やバビは僕が良い顔をしないから 決して千春を呼び捨てにしない。
そして千春も 僕を呼び捨てにしない。
そんなことまで 心に浮かんでは 消えて僕の心は乱れて 苛立ちを濃くしていく。
千春とは 歳がひとつしか 違わない。
なのに 千春は いつまで経っても真弓さんとしか 呼ばない。
なんで一歩下がっているのかな。
つまらない 憤懣やるかたない 思いが 溢れては こぼれる出口もなく 溜まっていく。
千春のあふれる涙を 指でそっとぬぐった。
愛しているよ。どうしようもないくらいに。
もて余す程の気持ちは 眠気を奪い 夜明けになっても まんじりとも 出来なかった。
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