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ひととおり やらなければ ならないことを すべてマスターして 俺は コーヒーを淹れた。
俺と来客用のマグカップに淹れたての コーヒーを注いで ダイニングテーブルにひとつ置いた。
「……それで 引っ越しはいつにすんのよ?おじさん 亡くなったの 夏だろ?やっぱ1年 経たないと 駄目なもんなのかよ?
俺 そういうの よくわかんねから。
昨日 引っ越ししたのに すぐってのもなぁ。嫁入り道具ってぇの?箪笥とか ドレッサーとか 買うの?」
「ううん。今使ってるの持ってく。クローゼット広いし。あらかた 揃ってるし。
ところでさ 千春 又DVD 貸してよ。」
「おー 良いよ。何がいーの?」
「古いのだけど トップガン ミッションインポッシブル トラトラトラ。」
「好きだね。あの俳優。ジェット機も好きだよな。女なのに」
「うん 好き。
最近ニュースでさ 中国の空母出るじゃん。あれ 見てるとさ トップガン見たくなるんだよね。」
「おー。あれな。
中国のは ロシアの中古の空母な。30年以上前の。ジェット機飛び立つのに スロープつけて飛んでるべ。それによ 原子力じゃねーから 燃料スゲー食うんだよ。空母の中ほとんど燃料が積んであるらしいぜ。ほとんどタンカーじゃねーの ってくらいに。それに アレ スピードも出ねーし。それに比べて日本はよ 太平洋戦争中に 燃料はとにかく もうすでに 空母があって 戦闘機が そこから 発着してたんだぜ。スゲーよな。
それにしてもさ トップガンは オープニングがカッケーよな。なんで欧米って 乗組員も カッケーんだろう?音楽もいーよな。
全然関係ねーけど ねーちゃん ディズニーも好きだろ?
じゃあ トイ・ストーリーも見たよな?3でさ ケンとの出会うシーンで トップガンの曲使ってるの知ってるか?」
「知ってるわよ。アタシ 映画好きだもん。千春そういえば 君の名は 見に行った?アタシ 単にからだの 入れ替わりかと思ったらさ 違うのよ。」
「へー そーなんだ。何 萩ちゃんと見に行ったの?」
「誰が!弟なんかと見るのよ。一人よ。 一人で行ったのよ。そー言えばさ 千春 知ってる?モッチャンとヨシヤスが付き合ってるって 話。」
「俺ら 仲いーからよ 俺だってモッチャン ヨシヤスと付き合ってるよ。」
「そういうんじゃなくて。つまり 肉体込み えーと 男女と同じく そーいう付き合い。ヨシヤスってさ
どこかの お嬢さんと同棲していたらしいじゃん。ところが 彼女が留守中 モッチャンと そういうことしてる最中に つまりベッドインしていたとき 彼女の父親に踏み込まれて 見られちゃったらしいよ。」
「えー?えぇー!モッチャンもヨシヤスも そーだったの?えぇー!えぇー!」
「まぁ 男と男だって 充分 アリだと 思うけど あの二人がねー。スッゴい 意外だわ。」
「そういえば ねーちゃんモッチャンと付き合ってなかった?高校んときだっけ?」
「うん。でもね モッチャンってさ 優しいんだけど それだけ。なんか いつも心ここに あらずって感じでさ。こっちから連絡しなけりゃ それで終わり。自然消滅。でも 今でも 会えば優しいよ。
そういえば 千春 あんたは どーなの?まだ彼女出来ないの?
ここに引っ越して 新しい営業所で良い人居ないの?
それに 千春さ 苗字変わったって?結婚したんじゃ無いよね?ここ女物無いもん。そこに相変わらずトレーニングの用具置いてあるし。」
「ああ。俺養子になったんだよ。それでな 今度は山手って苗字になったんだ。」
「ふうん。千春は親族居ないもんね。どういう関係の人なの?どういうことで養子になったのさ?
それにさ さっき モッチャンとヨシヤス も って 言ったよね。も ってさ。弟には言わないから 正直に言ってごらん。千春は嘘つけないって 私は知ってるからさ。あんたは 弟みたいもんだから。一応心配なんだよ。変な人間に騙されてるんじゃないかって。千春のさ 戸籍上の父親って 幾つよ?爺ィなの?介護目的で養子にされちゃったの?」
「ちげーよ。年寄りでもないし 介護なんて。そんな人じゃねーよ」
「ふーん。じゃ 年寄りじゃないと。じゃあ 金持ちな人間で 千春は 財産狙ってその人の養子になって騙してるんだ?」
「俺別に財産なんか狙ってねーよ!金なんか関係ねー。金なんか有ろうが無かろうが その人と ずっと……」
「ハハハ。本当に千春は 誘導尋問すると正直になるなぁ。おかしいと思ったんだ引っ越しの手伝いに来てさ 新品のアイロン要る?って聞いたら 悪いから要らねーって。3つ 新品の有るからって言ったら 貰ってくって言うし。おまけに アイロンの掛け方教えてくれって言うし。
しかも わざわざ私を迎えに来てくれてさ。このマンション。一人じゃ広すぎるし。おまけに アイロン掛け方 ワイシャツだけで良いって。この練習のワイシャツ千春とはサイズ違うし。
このワイシャツさ タグついてるし。
つまりクリーニング済みってことだよね。
クリーニング出すより千春がアイロン掛けたいってことだよね。何故? クリーニング出すより 千春がアイロン掛けしてあげたい 誰かが 居るってことだよね。
このワイシャツ 柄がうっすらあって 渋いけど 安物でもない。かといって 年配向きじゃあない。」
「ねーちゃん。俺はね。単に アイロンの掛け方を教えてもらおうと思っただけだよ。ねーちゃんクリーニング屋でずっと働いていたしさ。俺さ 料理も掃除もまぁまぁ やれるけど アイロンだけはわかんねーからさ 教えてくれって 言っただけじゃん。誰も 大切な人のアイロンだけは やりたいなんて言ってねーじゃん。
あれっ?俺 俺 何言ってんだ?ちげーよ。俺は家事を何でもちゃんとやりてーの。クリーニングは金かかるだろ?だから アイロンくらい自分でマスターしたいってぇの。」
「千春。普段会社は制服あるんだよね?通勤にはどんな服でも構わないんじゃないの?制服は自分で洗うの?」
「えっ?制服は会社でクリーニングもしてくれっけど、俺は自分で持ち帰って洗ってんよ。」
「冬は制服の下に何か着るの?寒くない?」
「えっ?寒くねーよ。車おりたら荷物運ぶし。車はあったけーし。だから家から ハイネック着てくから。その上に制服着るんだよ。」
「ハイネックにワイシャツは着ないよね。誰のワイシャツ?これ。白状しな!千春。」
「敵わねーな。ねーちゃんには。
参った。
俺さ 今好きな人と暮らしてるんだよ。
俺の好きな人は そうだよ 男の人。
そして その人俺より1歳年上でさ 結婚する代わりっつうか 一生その人と離れたくないから 籍入れた。同性だから親子として籍入れるしかなくて。その人スーツ着て仕事に行くんだよ。ワイシャツにネクタイして。でも俺 アイロン掛けできねーし。クリーニングに出しててさ。その人は アイロン掛けなんかしなくて良いって クリーニング出せば良いって 言ってくれたけど。
俺 この前 たまたま その人の仕事場に行ってさ。そしたらさ スゲー仕事振りなんだよ。
俺と釣り合い取れてないなぁって。
俺その人の為に何かもっと 何か自分を向上させたくてさ。もっと自分を磨きたいっつうか 俺って 駄目な人間だからさ もっとその人の役に立ちたいってさ 思ったんだ。何か俺ってくだらねー人間だから。その人に嫌われても仕方ねーなって普段から思っててさ。
飽きられたら……。
俺が駄目な人間だって思われたら……。
俺 本当にその人のこと好きなんだよ。俺達男同士だけどさ。その人は俺なんかにはもったいないほど 立派な人で。金持ちだし。優しくしてくれるし。俺がまずいことばっかり しても 怒らないし。でもさこの前 俺 しくじっちゃってさ。何か嫌われたかもしんねー。」
「千春。なんでそんなに 自分を低く思ってるのよ!
千春は 良い男だよ。千春を嫌う人間なんか居ないよ。もしそいつが 千春をいじめたら アタシがぶっとばしてやる!モッチャンだってヨシヤスだってアキラだってうちの弟だって田辺だって 千春をいじめる奴が居たらぶっ飛ばしてやるよ。千春を泣かす奴が居たらぶっ飛ばしてやるよ!
千春は悪くないよ!絶対。自信を持ちな!千春。」
「ありがとう。ねーちゃん。」
「それからね千春。さっき 彼氏から連絡あってね アタシを迎えに来てくれるってさ。ここの先の国道沿いのファミレス入った処って教えておいたから。
今もう 一緒に住んでるからさ。新しい家は Z市だからさ。こっから近いんだよ。
千春 心配なんかしなくて良いよ。幸せになりな。籍入れたっつうことは 離れないってその人だって思ってるよ。不安になること無いよ。それにさ 喧嘩もないなんて変。たまには喧嘩したりするんでしょ? 喧嘩したりして又仲良くなっていくんだよ。あ DVD 出してよ。あとさっき話したゲームソフトも。」
「おー 紙袋に入れておいた。結婚祝いだと思って。返さなくていーよ。これ気持ちばかりのお祝い。」
「やだ こんなお金もらえないよ。二度目の出戻りなんだからさ。あたしは」
「二度目だろうが関係ねーよ。一度目はよ、相手が悪い奴だったからよ。今度こそ 幸せになってくれよ。」
「ありがとう。一度目んときは みんなに世話になったもんね。」
「いやぁ アレはなー。ねーちゃん アザだらけで 俺達 スゲー腹立ってよ。でもさ 酒を止める為に入院して 真っ当な人間になって 新しい土地で新しい人生始めたんだろう?あの人。」
「らしいよ。もう どこで何してるか知らない。うちの実家も引っ越したし。弟も勤め先変わったし。なんか 船に乗ってるって聞いたけど。元々船員だったからね。」
「ねーちゃん アイロン悪ィーな。ありがとう。おかげで ワイシャツのアイロン掛けマスターしたよ。だてに クリーニング屋何年も居た訳じゃねーな。スゲーよ。あ スマホ鳴った。お迎えのお知らせか?幸せにな。ねーちゃん!」
「ありがとう。千春もね 幸せにね。みんなは 言わないから 安心して。」
「いや 言ってもいーよ。俺 悪いことしてねーもん。その人と これからずっと 暮らしていきてーから。彼氏 下まで来てるなら見送りしねーよ。」
「わかった。千春少し強くなったね。頑張れよ。他にもズボンだの アイロンするなら 教えてあげっからさ。じゃあね」
「おう。」
やれやれ はぎちゃんのネーチャンガ 帰っていった。
さて 俺は これから ワイシャツはクリーニングに出さねえぞ。
真弓さんの ワイシャツ。今までは クリーニング前のを抱き枕にしてたけど。
これからは 抱き枕にした あとは 俺が洗って アイロン掛ける!
俺の抱き枕。
いひひ 真弓さんのおパンツ と ワイシャツ。
今夜も真弓さん帰って来ねーから。抱き枕は おパンツ2枚と アンダーシャツ スウェット 豪華フルラインナップ!
でもな
不思議だよな。
俺 アイロンマスターしたら ちっと自信がわいてきた。
きっと 出張前 感じた切なさと 不安になったのは たまたま じゃねーか?
セックスしなかったのも たまたま。体調悪ィときだって あるよな。
俺 どんなことが あっても 真弓さんと離れねーからな。
真弓さん。
ま ゆ み さ ん。
まーさん まゆ まゆまゆ
えへ 俺だけの 呼び方
心の中だけの 呼び方。
あー
チキショー 会いてーな。
まゆっ!まゆっ!
おパンツ サイコー!
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