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悠一の秘密 1
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『じゃあ千夜、ちゃんと連絡するから。……またな』
そう言って、悠一が僕の元から居なくなって約四ヶ月が経った。
「寒い、なあ…」
僕は冷たい空気に包まれながら、ポツリと呟いた。
あれから辺りは一変して、夏から秋、そして冬へ変わった。この前まで夏休みだったのに明日からは、もう冬休みだ。やっと長い休み。
でも……。
連絡するー、とか言ったくせに悠一は、最初、一日に多くて五回しかメールの返信をしてくれなくて。
最近なんて、一週間に五回とかになっちゃって。あまりにもこれは少なすぎると思う。
…………そして最後にメールが来たのは、もう三日前。
「……………」
忙しいのかな、とか思ってもやっぱり僕は寂しい。うん、本当に寂しいんだ。
僕は降り積もる雪の上をドシドシと歩きながら、イライラを雪に当てる。雪はふわふわとしていて、イライラを当てているつもりが、ふわふわし過ぎて逆効果のようにイライラが増えていく。
そんなイライラを感じながら、僕は辺りを見渡して人がいないことを確認すると、スゥ…と冷たすぎる空気を吸い込む。
「………悠一のバカ!悠一のアホー!」
キッ─と空を睨みつけ、遠く離れた悠一に届くように、僕は声を張り上げる。
なにが連絡する、さ!もう三日も連絡来てないってば。忙しくなるんだったら、最初から言ってくれればいいのに…。
サク…サク……と、ゆっくりと雪の上を歩く僕の足音は段々と重くなり遅くなっていく。
「……アホ……バカ…。…バカ……」
ポツリと零した悪口も、今となっては言い返してくる悠一が隣にいない。
数ヶ月前なら、すぐに「千夜の方がバカだろ」とかって、言い返してきたのに。
いない。
「早く戻ってきてよ…」
小さく声をこぼし、僕はボーッと雪に染まった地面を見ながら歩く。
ねぇ、悠一。
……僕ね、悠一とずっと……。
いつも変わらない日々が、ずっと。
永遠に続くって根拠もなく思ってたんだ。
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