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*夢の中の貴方は
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「あ…、あぁっ…、くろ、き…せんせ…っ…あっンんんっ…」
静かな部屋、その時の音だけが密かに、確かに響く。
結合部は、激しい動きに耐えるだけに十分な湿度で、黒木を受け入れ続ける。
グチュ、ズチュ
「野川先生っ…! …く…ぅッ…!」
腰が止められない。肌と肌がぶつかり合う軽い音と、息遣い。
別々の体は、動きがシンクロして快楽をこれ以上ないほど高めていく。
耳が、身体中が脈打って、それでもまだ高鳴って、野川の細い腰が折れるかと思うほどに攻め立てる。
行為に耽り、色っぽく眉を寄せ、目を閉じて全身で快感に感じ入るその姿に煽られ、抱いていながら身を焦がした。
「あっ…、も、もうっ…あっ、だ、だめで…っ…あっ! ああぁ…っ…んんっ…ンっんぅ!」
野川の絶頂に合わせて、唇を塞いだ。口の中をかき混ぜるように舌で味わう。
そうしていながらも一層激しく腰を打ち付け、自分も昇りつめた。
黒木は、愛しい余りに一層きつくその身を抱き締める。
それに合わせて野川が黒木の首筋へと唇を寄せ、強く吸って印を残し、そのまま首に縋って頬ずりをした。
「…ッ!?」
ガバッ、と音がするほど布団を跳ね除けて、起き上がる。
身体が脈打っていることと、汗をかいていることと、自分の中心が立派に反応を示しているのは先ほどまでの夢と同じらしい。
…最後に首筋に痕を残すのは、誰の癖だっただろう。
何年か前の相手を思い出し、お陰で目が覚めた。
顔と体は野川だったが、繋がっているそこだけは、感触がリアルに女物だった。
当たり前といえば、当たり前だ。女性の体しか抱いたことが無いのだから。
「はぁぁ……。」
両手というよりは両腕で頭を抱え、頭をグシャグシャとかき回す。
それにしても生々しかった。
重なり合うその肌の色、必死に縋り付く腕ーーまだ首に重みが残っているような気さえするーー、愛しい声で、あの唇で、ひっきりなしに喘ぎ、漏らす嬌声も…、…。
…時計を見るとまだ朝の5時。もう少し眠る予定が、大幅に狂ってしまった。
「まずい…。」
体は素直に、頭から爪の先まで今なお灼熱を留める。
鎮まらない疼きと共に一先ずはバスルームへと向かった。
…今朝は、シーツもパッドも枕カバーも全部外して、洗濯機に放り込んできた。それでこの気分がしっかり変わるとは思えなかったが、自分の中のあからさまな欲を少しでも洗い流したかった。
そうでもしなければ、とてもじゃないが野川に顔向けができない気がしたのだ。
もう年が明けて10日余り、この時期大学教員は多忙だ。卒論の口頭試問や試験とレポートの審査、成績の評価。そして、最も時間を奪られることといえば、やはり来年度の準備まで見据えた大学の経営に協力し合わなければならないこと…つまり、会議に次ぐ会議に出席しなくてはならないことだろう。
助かった。今は会わない方がいい。
野川とまともに目を合わせることなどできそうに無いことでもあるし。
…しかしながら、もう一週間は会えない日が続いている。
「…会いたい…。」
相反する気持ちに、心が二つに折れてしまいそうでも、耐えるしか無い。
目を伏せ思わず唇を噛む。
この想いは、なんとしてでも隠しておくべきなのだ。
野川は、住の江の人、などと呼んで、人妻であるかの様に勘違いをしているが、…それで良い。
今朝、あんな夢を見て、狂おしい程に会いたさは募り、だからこそ会えない。
胸が潰れるような痛みを、何度か深呼吸してやり過ごしながら、早朝の研究室で、パソコンを虚ろに眺める。
喜ばしくも野川との共同研究のテーマが決定し、個人で書く論文もそれに関連した内容にすることを思いついて、後は資料や論文を集めるという明確な仕事があるが、まるっきり何も、手につかなかった。
「藤沢先生のせいで…。」
あんな夢を…。
黒木は、自分の激情を持て余し、すっかり参ってしまっていた。
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