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「椿の胸の中はやっぱり落ち着く」
「そうか?」
「うん」
俺の胸の中で思いっきり息を吸ったミケ。
「あっ、もうすぐだ」
「何が?」
俺は抱きしている腕を緩め、ミケを見た。
「ほら、あれ」
笑顔で空を指差す。
ミケが指差した先には陽が落ちて暗くなり始めている空に金色に輝いている星があった。
「この星も好き。一番初めに輝き始めるこの星を見ると、あーこれからたくさんの星が輝き始めるんだなってわくわくする」
確かあれは一番星で、金星だったよな。
「そういえば、何で椿は今日あんなにいっぱいチョコ貰ってたの?」
一番星を見つめていたミケが、思い出したように俺の顔に視線を向けた。
「あぁー、今日2月14日はバレンタインだからな」
「ばれんたいん?」
「そう。どう説明すればいいかな…何というかお世話になってる人に感謝の気持ちを込めてチョコを送ったりとか、好きな人に送る場合もあるかな」
いや日本では、どっちかというと後者の方がポピュラーなんだけどな。
「……そんな日があったのか…。じゃあ椿にバレンタインを送らないと!えーと、チョコ、そうだチョコ送ろう」
慌てたように立ち上がったミケ。
「とりあえずチョコ買ってくる!」
「いやいや、いいよ」
「何で?椿のこと好きだし、椿にはいつもお世話になってるし…。バレンタイン知ってたら、ちゃんと準備してたのに。チョコ買ってこないと」
このままじゃチョコを買って俺に渡すまで諦めない雰囲気のミケ。
「それじゃあ、俺の誕生日に俺の好きなもの作って祝ってよ」
「椿の好きなものって、オムライスとコーヒーゼリー?」
「そう。それ作って祝ってよ」
「うん。わかった。でも、椿の誕生日って…?」
「3月2日」
「3月2日か…」
ふと何か考えてるミケ。
「約束だからな」
「…うん。わかった…。オムライスとコーヒーゼリー作る!」
そう笑顔で答えたミケ。
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