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灰色生活にひとつの肉まんを
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自分の名前もわからない、これから先の未来も真っ暗で何も見えない。
ははは。何かこの真っ暗な海の向こうみたい――。
どれだけ目を懲らしめて遠くを見つめても、見えない向こう側が、先の見えない僕の未来とそっくりだ。
「おーーい!」
砂浜に膝を抱え小さくなっている僕に向かって海沿いの歩道から誰かが声をかける。
波の音しかない此処で、妙に響いた男の声。
僕は聞こえないふりをして、無視した。
どうせ、碌でもないようなやつだ。
田舎町のちょっといきがった不良とか。
僕は顔を上に向け、夜空を見る。
複数の小さな輝きの中に、ひとつだけ大きな輝きを放つ星が目立っている。
「……綺麗だなぁ。大きな星…」
ぼーっと大きな輝きを放つ星を見詰める。
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