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2.獅子王の挑戦
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?「おーい、獅子王。起きろー、こんなトコで寝てたら風邪引くぞ~~」
獅「…!」
?「お、気がついたか?」
獅「…つ、鶴丸さん!え、あ。俺、寝てました…?」
鶴「おう、ぐっすりと。珍しいな、食堂で寝落ちるなんて。……どうしたんだ?」
現時刻は草木も眠る丑三つ時………ではなくまだまだ夜はこれからという時間帯。日付も変わっていない。獅子王はじじいのような(どっかの三条ではなく)所があるので基本、早寝早起きである。
常ならもうこの時間は獅子王は寝ている時間のはずだ。
鶴丸が何故起きているのか?と疑問に思うのも不思議ではない。
獅「その……コレ見てたら眠くなっちゃって。そのまま寝ちゃいました」
鶴「何だ?こりゃあ…………『月刊 お菓子LIFE』?」
獅子王が鶴丸に見せたのは自身が愛読しているお菓子作りの月刊誌だった。獅子王はすきあらばこの本を隅から隅まで熟読している。
しかも、獅子王が読んでいたのは上級者向けのページで、作るのが難しいシュークリームやマカロン等の作り方のコツが紹介されていた。
鶴「俺にゃあ、よくわかんねぇが……もしやコレ、お前さんが作るのかい?獅子王」
獅「はい。遠征とか出陣とか、おやつに持ってって貰ったらみんな喜ぶかな~…って。特に短刀たち」
鶴「食ったことねぇからわからんが…。そりゃ甘いのか?」
獅「どっちもクリーム使うんで甘いっちゃ甘いですけど……甘さ控えめも一応できます」
おぉ……!と鶴丸が感嘆の表情を浮かべたところで、食堂の障子がスッと開く。
そこにはだいぶ乱れた着物の一期一振の姿があった。着物の前がだいぶはだけている。
一「……っ! 獅子王殿?! も、申し訳ありませぬ!こ、ここここのようなはしたない姿を……!!」
獅「え、いや…いいっていいって~。気にしないで下さい~…」
獅子王を見つけたとたん、本当にイチゴのように赤くなり謝るものだから、逆にこっちが申し訳なくなってくる。
そんな一期一振を見て、鶴丸が声をかける。
鶴「すまん一期。なに、食堂に入ったらこやつが寝こけているのでな、起こしてやったんだ。遅くなってすまんな」
一「い、いえ…私もかってに……。失礼しました。先に戻っていますね」
どうやらお楽しみだったようである。去り際に見えた一期一振の首筋には真っ赤な痕が1つ。
いよいよ、自分がここで寝ていたせいでこんなことになって………鶴丸も早く戻りたいであろうに申し訳ないことをした、と心に思う獅子王。
台所に行っていた鶴丸は片手にペットボトルを持ち戻ってきた。
鶴「じゃ、俺いくな。ちゃんと布団被ってねろよ」
獅「はい、こちらこそ申し訳なかった。呼び止めてしまったようで……」
鶴「気にすんな。そもそも話しかけたのは俺だしな。……じゃ」
おやすみ~と言って鶴丸は食堂を後にした。
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