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未完成な復讐
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夜間の高校に通っている俺は、昼間は小道の奥にひっそりとあるカフェでバイトをしている。
最初は学校をサボるために見つけて通っていたけど、店長と話すようになって、そのうちベテランだった店員がやめて、バイトが1人足りないからってことで、店長に直々に誘われた。
カラン、と扉の鈴が鳴るとお客さんが来た合図で、
厨房から、ホールへと出てお客さんを迎え入れる。
「いらしゃいませ。禁煙席と喫煙席どちらにしますか?」
「あ、あの禁煙席で…」
「かしこまりました。たしかあちらの席がお決まりの場所でしたよね?今空いているのでごゆっくりどうぞ。」
常連客の女性をお決まりの場所に案内する。
俺が接客をするのは初めてだから、「え?え?」と戸惑っていて、ふっ、と笑ってしまった。
「あ、あの何でこの席の、こと、」
明らかに俺にビビりながら、話しかける女性。
まあ見た目が、こんな感じだからビビられるのは慣れてるけど、まさか話しかけるとは思ってもみなかった。
というか、なんか小動物みたいだなこの人。
「ああ、お客さんがこの店に来た時いつもこの席に座るの見てましたから。
それと僕と話してる時もこの席のこと見てたから、ここがお決まりなんだろうな、って。」
「あ、すっすいませんっ! わざわざ気を使って頂いて、っ!」
「いえいえ。この席、僕にとっても特等席で、ここでバイト始めるまで、今みたいに店長が同じように言ってくれたんですよ。」
「…っお兄さんも、ここが、お決まりなんですか?」
「はい。ここからだと店の外の林が綺麗に見えるんで、雨が降った後の晴れた日なんかキラキラしてて最高に眺め良いんですよね。」
「はっ、はい!わたしも、ここに初めて来た時っ、お兄さんと同じように思って、だからっここお気に入りなんです、!」
俺の事、まだ怖いくせに必死に話してくれる瞳が印象的だと思った。
あいつの小さい頃に、なんだか似ているなとも思った。
俺の背中を必死に追い掛けてくる、キラキラした大きな瞳。
わくわくしてて、顔がくしゃって笑って、「ヒロくん!」って何度も呼んで。
水浅葱のような綺麗な瞳で。
「……。」
「っ? お、お兄さんっ?」
「え?あ、すいませんぼーっとしてしまって、いまメニューとお冷お持ち致しますね。」
「あ……、はい…っ」
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