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未完成な復讐
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だんだんと、イツキちゃんのお兄さんの姿が見えてきて、なんだかほっとする。
それなりに話していたとは言え、イツキちゃんの瞳を見ていると、時折あいつの瞳を思い出して、フラッシュバックのように脳裏に浮かんで、また胸が苦しくなるから。
「''ほら、早くお兄さんのところ行ってあげなよ。''」
とん、と背中を押すと、イツキちゃんは俺の方を振り返って、また大きな声で、「''お兄さんっ!」といった。
「''っあ、あの!お名前教えてくださいっ!
あと、またお店に行きますっ、その時はお店のオススメ教えてくださいっ!''」
必死な表情に、負けた。
なんでも必死なイツキちゃんに、俺は名前を教えた。
「''名前は、高槻 紘。
なんて呼んでもいいよ。あと俺平日は朝から夕方まで店にいるから、いつでもおいで。''」
イツキちゃんは「''はい!ヒロお兄さんっ!''」と嬉しそうに笑った。
名前を教えても、「お兄さん」と付けるあたりは律儀なんだなぁ、と思った。
そしてイツキちゃんは、お兄さんの方へ走っていき、「''兄さん、来て!''」と何故か俺の方へお兄さんを連れてきて、
………息を呑んだ。
「……なんで…っ」
イツキちゃんが俺の前に連れてきた、お兄さんは
白髪をした水浅葱色の瞳をしたかつての幼馴染み
「橘……。」
芦屋 橘だった。
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