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未完成な復讐
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「行っちゃった……。」
樹は明らかに残念そうに、あの人の消えた道を名残り惜しく見ている。
まるで仔犬がシュン、と耳を垂らしたような光景。
「仕方ないだろ、用事があるって言ってたんだから。
そこらへんは理解しなさい。」
「はぁーーい……」
樹には少し厳しく言う、【僕】だけどね……
本当は心の底から、僕が一番残念で仕方ないんだよ。
酷いなぁ。
僕の姿が分かった瞬間、逃げちゃって。
あの時もそうやって、僕から逃げて。
7年も経ったっていうのに、僕から逃げる所は全然変わっていなくて。
まさか、僕が樹の兄だという事も知らず
僕が君を、君と確信するために樹をあのカフェに行かせたということも知らずに
「ちっとも変わってなかったね、紘くん…。
良かったぁ…僕の暇潰しにはもってこいだ。」
あの時、君は僕を裏切って、逃げた。
許さないよ。
もうずっと忘れかけていた記憶が、また蘇って、君を痛めつけてやりたいって言ってるよ。
ねえ、紘くん。
これは復讐だよ。
僕を裏切った、君への、復讐だ。
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