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未完成な復讐
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「…あれ。いない……」
気を引き締めてホールに戻ると、カウンター席に芦屋はいなかった。
レジの方を見ても、いない。
「なんだよ帰ったのかよ…」
せっかく人が気にしないっつて気合い入れてきたってのに。
いや、まず帰ったんなら、俺は仕事がやり易くなっていいんだけどさ……なんだかなぁ……。
少ししょぼくれたようになっていると、やっちゃんが背後から、ポンっと押した。
「やっと出てきたね、高槻くん。で、はいこれ。」
「 ? なにこれ?」
やっちゃんに渡されたのはそこそこ大きな箱と、手紙のようなものが2枚。
箱を振ってみると、カサカサと音がして、「やっちゃんの手作り?」と聞くと、
「んな訳ないでしょー? さっき高槻くんがわたしに行かせたとこのお客さんから。」
「はい?」
「『赤髪のお兄さんに渡してください。』だってさ。
わたしにくれるのかなー、って期待しちゃったじゃないこの色男!」
やっちゃんはそう言うと、また背中バンッ、と叩いた。
正直痛かったけど、それよりも芦屋に何か貰ったということの方が嬉しくて、痛みなんか全然平気だった。
「…それなら…直接本人に渡せよな…」
まだ芦屋の考えてることわかんない。
わかんないけど、これは、喜んでいいよな…。
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