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未完成な復讐
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「くそ、いちいちべたべた触る必要ないだろ」
僕は今、最高に機嫌が悪い。
高校に入学して1ヶ月が経ち、今ではすっかり学校にも慣れて、癖のある友達とも出会い、僕なりに高校生を楽しんでいる。
が、この白髪と瞳のせいで、僕はいい見せ物だ。
「かっこいい」だの、「綺麗だね」だのと毎日毎日教室まで押し掛けて来ては、きゃーきゃー叫びまくっていい迷惑だ。
挙げ句の果てには部室や、道場にまで押し掛けて、本当の本当にいい迷惑。
どこに行っても、何をしても、こそこそヒソヒソ、きゃーきゃー、わーわーうるさい。
猿みたいな甲高い声で耳が痛い。
一番迷惑なのは、僕の断りをなしに勝手に髪に触れたり、身体に擦り寄ってくる勘違いな女。
一応女だから我慢しているけれど、危うく手が出てしまいそうになる。
「だから女は、大嫌いなんだ」
甲高い声も、香水塗れなとこも、色目を使う奴も、身体を使って僕を誘惑させようとする女も
女の何もかもが大嫌いだ。
あんなのは僕と、父さんを捨てた母親と同じだ。
日本から離れた途端、他の男に貢ぐようになって、家に帰らなくなり、父さんと離婚した。
離婚する時には、他の男の子供を妊娠していて…
あんなの僕が知っていた母親じゃなかった、ただの汚い女に繰り下がっていた。
あんなやつが次の子供の母親になんてなれるわけがない。
そして、その後すぐに父さんは他の人と再婚して、僕に兄妹が出来た。
兄2人と、妹1人の4人兄妹になった。
血は繋がっていないけれど、兄さん2人も、樹も僕のことを慕ってくれて、僕は今の家族がとても大切なもの。
それと同様に大切な人が、僕にはいる。
「紘くん……明日、やっと会えるよ。」
部屋に飾ってある紘くんの写真に語り掛けた。
小さい頃の可愛い紘くん
バイト中の紘くん
学校に向かう紘くん
買い物をする紘くん
マンションに入っていく紘くん
「ぜーんぶ可愛いよね、紘くんは…」
待っててね。
明日から、また君に会いに行けるよ。
明日からはもっと紘くんが、もっと僕のこと意識するようにさせてあげるからね。
紘くんは僕だけのものだよ、誰にも渡さない。
早く僕だけのものになってね。
「紘くん。 大好きだよ。」
明日からが楽しみでたまらない。
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