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未完成な復讐
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「高槻くんこれ2番テーブルのお客さん、こっちがカウンターのお客さんね」
「はーい」
相変わらず【citrus】は長閑なカフェだ。
休日にも変わらず、お客さんはそこそこいるが、バタバタと急ぐ必要もなく、のんびりとした音楽が店内に流れていく。
「お待たせいたしました。クリームソーダとストロベリーホワイトパフェです、ごゆっくりどうぞ」
今日は特に10代の女性客が多い。
注文する物も男性客より比較的軽くて運びやすくて、夕方なのにまったく疲れていない。
あと2時間くらいで閉店時間だから、もう一踏ん張りだな、と考えていた。
カランカラン。
ドアに付けている鈴が鳴った。お客さんが来店した合図。
「いらっしゃいま「紘お兄さんっ」
ドアの方へ振り向いた瞬間に腰辺りに、ドンッ、と重いものが当たった。
驚くよりも先に、言葉が出た。
「こんにちは樹ちゃん」
「こんにちはっ! お久しぶりです!!」
約1ヶ月ぶり。
この間の樹ちゃんとは見違えるように明るくなっていた。
「えへへお兄さんだ〜〜」って俺の腰に抱き付いてすりすりと、顔を擦り寄せてくる樹ちゃん。
可愛くて思わず、頭を撫でようとした、
「こら樹、紘くんのお仕事の邪魔だろ」
腰に抱き付いていた樹を、俺から離すように現れた芦屋 橘。
ムスッとした表情から、柔らかくふにゃりとした表情へと、変わり、
「こんにちは紘くん。」と、僅かに微笑んだ。
「ッいらっしゃい、2人とも」
1ヶ月に会えた芦屋。
ちゃんと目を合わせた7年ぶりの再会。
俺よりも小さくて、俺の後ろばかり追いかけていた小さかった芦屋。
今では俺の背を追い抜かして、俺を見下ろして、真っ直ぐ俺を見ている。
小さい頃と変わらない綺麗な瞳で。
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