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未完成な復讐
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「''ッ情報を得るとか嫌な言い方しないでよっ!''」
バンッ、と鈍い音と、樹ちゃんの怒りが含まれた声が聞こえた。
料理を運んでいた俺は、2人の席を振り返った。
樹ちゃんが椅子から立ち上がって、芦屋に対して鋭い眼つきで。
芦屋は座って、立ち上がった樹ちゃんを見上げていた。
閉店間近の店の中にはお客さんこそ少ないが、それでも、何事か、と振り返るお客さんがいた。
「たっ、たっくん、たっくんッ」
厨房から料理を持って出ようとした薫が、俺を呼んだので、カウンター席の男性に珈琲をお持ちして、薫の元へ駆けた。
「な、何かあったの? あのお客さん達、」
「ああ…何かあったんじゃない? 大丈夫だろ、ちよっとした兄妹喧嘩とかだと思う。」
「そ、っか…びっくりしたよ、急に大きい音するんだもん」
不安そうな薫に、「大丈夫大丈夫。」と言って
料理を運ばせた。
でも俺は、薫にああは言ったものの、多分1番俺が気になっている。
さっきまであんなに仲良く喋っていた2人だし、それに樹ちゃんがあんな大きな声で、あんな眼つきで、芦屋に対抗しようとしていたから…
「…大丈夫……だよな…」
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