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未完成な復讐
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電話を切って、携帯の履歴にある『鈴瀬辰也』と登録してある電話番号、メアドを消す。
俺も、鈴瀬さんも、振り返らない過去の人となった。
これでやっと1つケジメがついた。
あとは……制服のポケットに忍ばせたままの芦屋からの手紙。
なんだかんだでまだ読めずにいた。
今から見ようと思えば、見れるけど、授業を抜け出して来てるのもあるから、明日見よう……
一度手に取った手紙をまた、ポケットに忍ばせ、教室に戻ることにした。
教室に戻ると、先生はいなくて、休み時間になっていた。
そんなに長く話した覚えはなかったけど……。
とりあえずまた授業ノート、誰かに貸してもらわなきゃな。
席に着いて、授業道具を片していると、頭をパコッ、と何かで叩かれた。
誰かに、とは言わなくてもこんな事して絡んでくるのはこの教室内では1人だけだから、すぐにわかった。
「……千秋、頭いたい。」
「なぁにが痛いんよ、こんくらい。
ほれほれ授業ノート貸しちゃろうかーー?」
「…ありがとうございます……」
「おう。感謝しろよ」
「どーも」
「急に雑な感謝になりよるか!!」
この教室内では一番お世話になっている同級生。
新島 千秋といって、本当なら俺より1つ上なんだけど、ダブってまた1年生をやり直している。
こいつは単に高校に行くのがダルかったのと、親の決めた高校に進学したはいいが授業がつまらない、と言って高校中退後、上京してきたと聞いた。
とにかく世話好きつーか、おかん気質みたいな奴だから、俺の事も入学した時からよく面倒見てもらった。
こんな身なりだし、人と関わりとか持たないし、授業もよく休んでたのを、千秋は気にして、色々やってくれた。
そーゆーところは感謝している……一応
「あれやんな、学校こんことは何度もあったんやけど、授業中に抜け出すん初めてやんろ?
なんかあったん?」
「あー。まあ、いろいろってとこ、」
「ほーん? まっ、いーけど〜?」
千秋には、鈴瀬さんの事は言っていなかった。
というか鈴瀬さんの事は誰にも言っていない。
どうせ言ったところで、好機な目に晒されるだけだと思ったし、恋人でもないし、そんな簡単に理解される関係じゃなかった。
まあ、簡単に言ってしまえば、『セフレ』だった、って事。
それも、もうさっき終わったけど。
「……千秋、次なんの授業?」
「次ぃは、日本史やなかったと違う?」
「まじか。ひげじい(日本史担当)の授業は子守唄じゃん、俺絶対寝る」
「そこは起きちょかんかえ〜。ひげじいの日本史面白いんよ?」
「無理。俺は疲れた。」
他愛もなく、至ってシンプルな会話を続けながら、次の授業に入って、学校生活を送る。
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