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未完成な復讐
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身体が、勝手に動いていた。
紘くんを少し……ほんの少し揶揄うだけだった。
「……こんな風にされたら紘くん逃げられるの?」
紘くんの手を引いて、自分の懐に入り込ませた。
抵抗できないように、僕もそれなりに力を入れて、どんな反応するのかなって見るだけだった。
案の定紘くんは思い通りの反応で、僕から離れたいって事がすごく伝わってきた。
同時にそれは嫌いだから離れたいって事じゃないのも確信した。
紘くんを抱きしめた時に伝わってきた、紘くんの心臓の音は、僕と同じくらい……
いや僕よりも速くて、握った手からも熱を感じた。
必死に隠すそれが面白くて、楽しくて、心地良くて、すぐに離してあげるつもりだった。
「はーーなーーせーーっ 離せっ!!」
これで強く言っているのか?
こんなの、「もっと強く抱きしめて」って言われてる気しかしないよ、紘くん。
ほら、もっと嫌がらなきゃ。
そんなのじゃ僕は離れない、離さない……
「ッ橘!!!!!」
「わっ」
一瞬。
ほんとうに、その言葉がぴったり。
今の今まで僕の懐にいた紘くんは、僕の懐にいなかった。
びっくりしたんじゃない……嬉しいと思って、つい力を抜いてしまった
僕と再会してから紘くんは、『橘』じゃなくて『芦屋』、名前じゃなくて姓を呼ぶようになった。
そうじゃない、違うんだ、どうして『橘』って呼んでくれないの?
昔みたいに、『橘』って呼んで欲しかった。
僕の自己満足にしか過ぎないとは解ってた、けどずっとずっと会えなかった分、紘くんに会って、あの大好きな紘くんに『橘』って呼んでもらいたかったんだ。
だから今すごく嬉しい……
でも、懐の温もりがなくなったのは落ち着かないな。
今はまだこれくらいで我慢しなきゃ。
いつか、紘くんをずっと抱きしめていられるようになるまで我慢するんだ
僕より大きくて、頼りになるお兄さんだった紘くん
今では僕の方が身体が大きくなって、紘くんをすっぽり包み込めるようになった。
早く……早く僕の『紘くん』にならないかな……
「…早く僕を好きになって、愛して、抱かれてよ紘くん……」
ずっと離さないから
ずっとずっと愛してあげる
優しく、激しく、苦しいくらいに
僕が、君を愛してあげる。
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