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未完成な復讐
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「「お疲れ様でしたーー」」
現在夜の7時半、もうすっかり辺りは真っ暗
近道を通って行けば帰り道も速くなるけれど、あれ以来近道は使わないようにしている。
別にあの事が嫌だったから通りたくないとかではなく、お客さんに「通らないで」と言ってあるのに自分が通っているのもあれだし、というか意識すればするほどあの近道が怖くなったから。
そして俺たちは少し遠回りになる道を歩いて帰っているんだけど、
「「…………」」
見事な無言。
というか、俺はあれから、芦屋の顔が見られない。
いや見たいんだけど、なんて言うかな俺の顔、今ものすごくブサイクだと思うから見せたくないってのがあるんだよね。
薫に嫉妬して眉間に皺寄せてる、ムスッとした顔を好きな奴に見せたくないし、それに俺と芦屋はただの幼馴染みで付き合ってるわけでも、かと言って仲が良いとも言えないし、極め付けは男が男にこんな感情を抱く事がそもそもの違い。
「……ふぅ…」
「…つ、疲れたのか?」
「え? ああ、いやタイミングを見計らってるの」
「タイミング?」
「うん。紘くんと話すタイミング」
「……もう話してんじゃんか」
「うん、だから成功したなーって」
わざわざ俺と話すタイミング見計らってたなんて…
一応、気を使ってくれたの、か…?
「ね、紘くん。 紘くんは相良さんの事どう思う?」
「か、薫? なんで、急に薫のこと…」
「いーから、どう思う? 素直に答えて」
芦屋からの突然の問いに、頭がぐるぐるする。
いきなり薫の事をどう思うかとか、何それ。
もしかして、薫のことマジで好きになっちゃったから、俺を試してんの?
いやでも薫に彼氏がいるの、芦屋は分かってるし、もしかして略奪愛ってやつか?
あり得るかもだよな、だって芦屋は薫のこ「可愛い」って褒めてたから、あり得るよな。
「ひーろーくん」
「ぅぶッ」
もやもや考えながら、下を向いていたのを、芦屋の大きな手で、両頬を包まれた。
温かくて大きくて、ごつごつの掌
一瞬頭の中が「?????」だったけど、すぐに状況を理解して、ボッて顔から火が出るくらいに熱くなる。
多分芦屋にも分かるくらい今、顔が熱いし、真っ赤だ。
さっきとは違う胸の痛みが、またキた。
今度はズキズキじゃなくて、ドックンドックンて五月蝿いくらいで、速い鼓動。
やばいやばいやばい近い近い近い!!!!!
暗闇でも見えるくらいに芦屋の顔がすぐそこにある。
綺麗な瞳で俺を見ている。
直視出来なくて、ギュゥと目を閉じると、「ふふっ」てすぐそこで芦屋が笑った。
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