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未完成な復讐
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「紘くんのほっぺた熱いね」
「ぅーーッ!ぅう!」
「何言ってるのかわかんないな〜」
「うー!!!!」
「ふふ。」
ぶにぶにぶにぶに、って俺の両頬で遊んで、楽しんでる。
みっともない顔してるんだろうな、俺。
それなのに芦屋は頬を弄るのをやめない、ぶにぶにぶにぶに触って、くすくす笑ってる
「それで? 紘くんは相良さんの事どー思うの?」
両頬を弄るのをやめて、俺が話せるくらいに腕の力を抜いた。
でも両頬は掴まれたまま。
心臓もどきどきしたまま。
顔も熱いまま。
すごく恥ずかしいのに、この恥ずかしさが心地良い。
「…か、おるは可愛いし、ちょっと馬鹿なとこあって、目が離せない、妹みたいな存在、だから…」
「だから?」
「お、俺が薫を好きになる事ないから、あ、安心しろよっ!」
「…………」
途端に無言になる芦屋。
素直な意見を言ったはずなのに、なんで黙るの?
何がダメだった?
何か、言ってよ……
「……もしかしたらと思えばやっぱり勘違いしてる」
「な、にが?」
「紘くん、僕が相良さんを好きって思ってるでしょ?」
「………うん」
「あのね、相良さんに可愛いとは言ったけど、それはあくまで「妹みたい」って事なの。
僕からしたら樹に抱くような感情なの。
だから、僕が相良さんを好きっていうのは紘くんの勘違い」
何それ。何それ。
俺の勘違い、なら、芦屋は薫に好きって感情ないの?
信じていいの……?
「……本当に?」
「本当」
「嘘ついてない?」
「紘くんに嘘なんてつかないよ」
「絶対?」
「絶対。約束する」
コツン、と俺のおでこと、芦屋のおでこが優しく触れる。
さっきよりも、芦屋の顔が、匂いが、近くて、腰が砕けそう……
芦屋から香る仄かに甘い匂いにクラクラする
匂いに酔いそう、芦屋に酔いそうで、怖い。
こんなに近くていいのか、芦屋は俺が嫌じゃないの?
無理してない?なんでこんな事するの?
「……紘くんは僕の事どう思う?」
「あ、芦屋のこと…大事な、幼馴染み…だよ」
「本当に?」
「ぅ、ん…本当、」
「あの時、僕を裏切ったのに?」
「え………。」
『裏切ったのに?』
聞きたくなかった言葉
忘れたかった言葉
思い出したくなかった言葉
やっぱり、芦屋は、忘れてなんていなかった
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