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未完成な復讐
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「うーーーお腹いっぱい……ご馳走さまでした」
「はい、お粗末さま」
芦屋の料理は最高に美味しかった。
自分で作って食べるよりも、断然美味しくて、俺がハンバーグが好きって言ったら特大のハンバーグを作ってくれた。
それだけじゃなくポテトサラダも、コーンスープとか、色んなもの作って食べさせてもらって…
お腹もいっぱいになって、芦屋の料理も食べれたしすごく満足。
「俺、皿片しておくから先に風呂入ってこいよ」
「僕は後でもいいから紘くん先に入ってきなよ」
「お客さんにそこまでさせるわけにはいかねーだろ?
いいから先に入ってこいって」
「……じゃあお言葉に甘えて……」
「ほーい」
「ニャアアン」
「あ、豆五郎お前は行っちゃダメだろー」
「ニャアッ、ニャアー」
「お風呂上がってから遊んでもらいな、ほら」
芦屋の後を付いて行こうする豆五郎を抱っこして、リビングのゲージに入れる。
芦屋が家に来た当初から、豆五郎は芦屋に懐いた。
元々人見知りとかしない優しい猫だから心配はしてなかったけど、今日は一段と甘えん坊になっている。
キッチンで芦屋が料理している時も、何回も芦屋の元へ行っては、俺がいたリビングのとこへ連れ戻し、またキッチンに行っては、リビングに連れ戻して…
やっとご飯を食べるって時も、芦屋の足元を離れなくて、本当に甘えん坊。
「すっかり芦屋のこと気に入っちゃったのか?」
「ニャーン」
「そっかそっか、いっぱい撫でてもらったもんな〜
俺がお風呂入ってる時にまたいっぱい遊んでもらえ」
「ニァア」
「ふふ」
いつもは静かで冷たい空気のリビングも、今日はぽかぽかして暖かい……
人がいるだけでこんなにも暖かくて、嬉しい事なんだってこと今更ながらに気づいた。
豆五郎と2人でも寂しくない、ここに来た当初はそれを頭の中でずっと言い続けてた。
豆五郎と2人だから大丈夫、大丈夫だ……
けどいつしか心の中では『寂しくない、そう思いたい』と考えるようになってしまって、寂しくてどうしようもない日とかがよくあった。
「でも…今は違うんだよなあ……」
「ニャアッ」
「嬉しいね、豆五郎」
「ニャーン」
ごろごろと喉を鳴らして、ゲージの中をくるくる回る豆五郎。
言葉は分かっていないけど、豆五郎はこーやって俺の言葉に反応して鳴くから、それだけで誰かと話してるって気分だった。
今は違う、芦屋に話しかけて、目を合わせて話して、『誰か』じゃない『芦屋』がいる。
すっごく…嬉しいこと……
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