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未完成な復讐
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寝室に入ると紘はまだ眠っていた。
ベットに腰を掛けて、眠っている紘の表情を見ると昨日よりも穏やかそうでホッとする。
首元を触ってみれば昨日よりも熱は高くないが、まだ熱い、おでこに貼ってある熱冷ましシートは温かくなっていた。
「紘、紘っ」
安心しきって眠っている紘を起こすのは癪に触るけど、一応熱もちゃんと計っておかないとね…
何度か名前を呼ぶとゆっくりと瞼を開いて、「橘……?」と囁いた。
「おはよう。ごめんね眠ってるの起こしちゃって。
熱計るのと、パジャマと熱冷ましシートだけ変えさせて?」
「ん…っ…わかった…」
のそのそ、とベットから起き上がり熱冷ましシートを剥いで、パジャマに手を掛ける。
僕はリビングから熱冷ましシートとパジャマの変えと、颯太が持ってきた紘の朝食を運ぶ。
僕と同じ朝食なのかと思ったが、颯太が用意してたのは小さいおにぎりが弁当箱に入っていて、弁当箱の蓋の左側から鮭・梅・昆布と書いてあった。
このおにぎりの具材も紘の好物。でもまだ熱があるからと小さく作られていた。
「…ほんとに主婦みたい……」
一体何時に起きて、僕等の朝ごはんまで作ってくれたんだろう。
颯太からしたら他人の僕なのに、朝食も、昼食も作って…紘の分まで作って。
家が近い訳じゃないのにわざわざここまで持ってきて、主婦というより『お母さん』みたい。
「橘…服、きた」
「あ、うん。じゃあはいこれ」
「おにぎり…颯太が?」
「そうだよ、さっきまでいたんだけど学校行っちゃった。また夕方来るみたいだから」
「橘は?今日、来る?」
「んーそうだね。まだ紘が本調子じゃないし。
それに紘が弱っていることを理由にいつも以上に紘といる時間が増えるからね。」
紘が油断していることをいい事に紘の頬にキスをした。
本当は唇にキスして、紘がトロトロになるくらいの深いキスをしたいけど無理はさせられないからね…
キスした後の紘といったら耳まで真っ赤にしてキスした右頬を抑えて、目を丸くしている。
「ふふ、可愛いね」
「……じゃないの?」
「ん?」
ボソボソと早口でいうものだから、聞こえなくて、もう一度聞くと、
「…口…じゃないの?」
なんて誘ってきたもんだからさ、
「んっ…!」
抑えれる訳もなく、紘の唇にキスをした。
いつも以上に熱い紘の唇に、僕は吸い付くように味わう。
キスをしたのは2週間ぶりだった。
お互いの学校、バイト、部活が忙しくて会う時間もない上にこんなに触れ合う時間もなかったから…
「ん…ッ…ッ」
「大丈夫?」
唇を離して、問い掛けると首をふるふると振って答える。
病人に抑えが効かないなんて、紘って魔性だよね…と思いながら紘が落ち着くまで頭を撫でる。
「……はやく…治らないかな…」
「そうだねー今日ゆっくり休んで、早くても明日には治ると思うんだけど…そんなにキツイの?病院行く?」
「違う…ッ…はやく治ったら…キス、いっぱいできる、だろ、?」
「………」
まったく……。
僕の恋人はどこでこんな誘い文句を覚えてくるんだか……
「紘が治ったら、いっぱいキスしようね……」
「…うん…ッ」
嬉しそうに笑う紘に、再び頬にキスをした。
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