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また、鈴が虚ろに目を開けている。
ようやく、手足が少しだけ動くようになり、意味もなく時折、手を伸ばしている。
手を伸ばしては、パタンと落ちる。
しばらく経つとまた、繰り返す。
足も弱々しく、足掻いてるから…どこか行きたいのだろうか…。
無表情な鈴からは、それを推し量る事しか出来ないが。
鈴の下半身は、異常がない。
やっと薬から逃れられ始めてる。
「鈴。落ち着いている時に、食って置こう。」
返事がないのは、わかっているから、構わず用意して、ベッドに座りこんで、抱え上げ、俺に持たれさすように座らせる。
点滴やリンゲルは続けていくが、この状態がどれほど続くかわからない以上、少しでも食わして置こう。
「スープだ。口開けて。」
スプーンでチョン、チョンと唇をつつく。
何度かやってるうち、口がわずかに開き、すかさずスプーンを入れた。
最初の一口は、胸元に当ててたタオルに全部こぼれてしまったが、鈴が微かに、妙な表情をした…。
「…シチュー食わしてやっただろう。
今度はスープだ。」
考えて見れば…、他人が俺の手料理を食べた事はない…。
そもそも、食べさせようとは思わない。
鈴が…初めてだ…。
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