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「ここ、いいかい」
細身の、スーツ姿のそいつはそう言ってきた。俺は頷き座れば、と無愛想に言う。俺の隣に座ったそいつはポケットからスマホを出してどこかに連絡をつけた。それは恋人だったようだ。
…なぁんだ、恋人持ちか…
つまんない。せっかく、結構イケメンだったから誘おうかと思ったのに。
でもなんか怒られてるっぽいからチャンスあるかも。
「ねぇ、」
男が電話を切るのとほぼ同時に俺は話しかけた。男はあまり驚かないでこっちを見た。
「オニーサン、ここ、何バーか知ってて入ってきたのか」
「…知ってたけど、入ったのはたまたまだ。別にそこまで偏見はないけどさ」
「ふぅん…じゃあ、俺とどう?どうせ暇だろ?なんならマスターに服借りてそのスーツ乾かせばいい。その間俺と、ってのは?」
「遠慮しておくよ。どうせ金とるんだろう」
「今日はいい。今日は稼ぐつもりでここに来たんじゃ、ねぇもん」
「男同士はほとんど経験ないんだけど」
「ほとんど、ってことはちょっとはあんだ」
一瞬止まった。けどすぐに何もなかったかのように腕を動かした。
「……そこの、」
俺の前を通り過ぎて、細い指が小皿にたどり着く。それはさっき真智に出してもらったマカロンの乗った小皿だ。バニラの方を男は取ると口に含んだ。
そんときの、そいつの、色気が何故かヤバくて俺は思わず目を背けた。
「そこのマカロン、俺にくれたらいいよ」
「もう食ってんじゃん」
「だってどうせいいって言うだろ」
何それ。何それ。意味わかんないにもほどがある。
マカロンくれたらいいって、何、それ…
面白すぎんだろ、この人…
俺はチョコのマカロンを指でつまんで男の口に押し付けた。
「こんなもん、いくらでもくれてやる。だから、一緒にいろよ、今日だけでいいからさ」
そう言って俺は男の肩に寄りかかった。
しばらくして真智がタオルの他にもいろいろ持ってきた。いろいろ世話を焼きたがっていたけど蔑ろにしない程度に断って、男はすぐに俺の肩を抱きつつ店を早々に出た。
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