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「……」
「よぉ、遅かったな」
ハァイと手を振る金髪の男と、PCに向かってこっちを見なままそう言った男。部屋にはその2人がいる。
ソファに座る金髪は俺の忘れていった本を読んでいて、そいつが持ち主だったからここに来た意味はなくなった。
…最悪
とりあえずそれに尽きる。
「ったく、待ちくたびれたっつーの。辰綺(たつき)、お前どうせホテル帰りだろ」
「うっせぇよ。なんでわかんだ」
長門の隣に座って、鞄を傍らに置く。それと同タイミングでPCで何やら作業をしている、アラタがそう言ってきた。
くるりとワーキングチェアをこっちに向けペンで俺を指す。
見えた顔はいつも以上にクマが酷くて、眼鏡をかけててもわかるくらいだった。何してんだか。
「LINEに既読がつかなかった。お前ケータイ充電してねぇだろ。寝てる時にメールしても朝一で返信くるのに来なかった。てことは充電してなくて見れない。こんくらいわかんだろ、わかんなかったら大学教授なんてできねぇっつーの」
「……相変わらずの洞察力で何よりだ。てか、アラタ、お前、そのミルクティー俺んのだろが!!何飲んでんだよ!!」
「あー? 冷蔵庫に入ってんのは俺んだ。てめぇが悪りぃ」
「はぁ!?ざっけんな。それ入れてた冷蔵庫は共同のだろうが!てめぇの冷蔵庫はそっち!!!」
「うっせぇな!この部屋の主人は俺だ!だったら何しようが関係ねぇだろ!」
「あのーお二人さぁん?ちょっとうるさいんで静かにしてもらえません?」
…………しゃあねぇ。長門に免じて今のところはやめてやる。
俺とアラタはちくしょうという顔つきでしばらく睨み合うと、知るかという風に同時に背けた。
それを見ていた長門は苦笑してパタンと本を閉じる。立ち上がって、荷物を持ち俺の頭を何故か撫でた。
「じゃー俺行くわ。なんか悪かったな辰綺、またよろしくねー」
「おー。むしろ俺の方が悪かった。こんなクソ野郎のとこに忘れちまって」
「いいっていいって。じゃ、バァーイ」
またひらひらと手を振って長門は部屋を出ていった。
それは、2人だけになる、ということ。
……最悪
なんでこいつと一緒にいなきゃなんねーんだか。っとに、今日は運がないと思う。
そう思った矢先、アラタは話しかけてきた。怠さ全開で返事をしてやると、スマホが投げられてきて俺は慌ててキャッチする。
「いきなりなんだよ」
「お前、そいつ知ってっか?俺の友達から聞いたんだけど、お前の行きつけのバーに行ったかもしんねぇんだってさ、そいつ。なんか変な事に巻き込まれてねぇか心配してんだけど、見た?」
「………なんで、バーに来たんだ?」
「あ?知るかよそんなん。あそこ結構美味い酒出すからなぁ、多分それで行ったんじゃね?」
「ふぅん………知らねえ。少なくともここ最近は見てねぇよ」
俺はそう答えた。
ほんと、こんなことってあんだな。
カミサマってほんとおもしれぇ奴。
…液晶に映っていた"そいつ"は昨日の夜。俺を抱いた男だった。
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