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「……疲れた」
「そうかよ。あんまし無茶すんじゃねぇぞ?続けなくてもいいんだからよ、ウリなんて」
「いい………やる……」
「あっそ…じゃあ、今日なんか奢ってやる。何がいい?」
「…サイゼリアがいい」
安上がりだこった。
そう呟いてアラタは俺の耳を軽く口に含む。アラタの言葉には俺も同意だ。自分でもいい加減、安っぽいと思う。もっと高いとこ…フランス料理とかせびれば、こいつは連れてってくれるんだろう。
でも
俺はそれが嫌だった。
するりと腕を解いて膝の上からどく。見下ろしてやればアラタは相変わらず不敵に笑ってるだけだった。部屋にこもりっきりだからか、肌はそこらの女子よりも白い。
そこに映える赤い口も、大きめの黒い瞳も、
……全部嫌いだ
なんかイラついて、椅子のキャスターをガンと蹴りつけ部屋を出る。アラタはそんな俺に優しく「いってらっしゃい」と言った。
けど、すぐに”いつもの”表情に戻り、俺なんていなかったかのように鳴った携帯を手に取った。
□□□□
廊下を早足で歩いてて、気付く。
「もう…10月か…」
コンクリの廊下は少し早めに冷たくなり始めている。ちらほらと長袖も増えていた。
…秋物買いに行くか。
どうせ今日は家で寝る予定だったんだ。この後に用事はない。それにそろそろ新しいインナーとパンツ、それに薄手のコートなんかが欲しかった。
財布を取り出して手持ちがいくらあるか確認する。
「こんくらいあればいい、か…」
しまって、緩めていた歩を普通に戻す。
研究棟から出る直前、あの、と控えめな声を聞き俺はまた止まった。振り返れば長髪の女子がいて、少し離れたところには友人らしき女子が2人。
しまった。ここの出入り口あんま人いないんだっけ。つかこいつ、俺がいつもここしか使わないの知ってて今声かけた?
…めんどくせぇ………
表情には出さず、なに?と聞いてやる。
「あ、の、これ…!読んでくれませんかっ!」
「…ラブレター?」
「へっ!!??え、あ、そうです!」
「ふぅん…」
俺は受け取ったそれを突き返した。女子はぽかんとして手のひらに乗ったそれを見る。
「俺、あんたの名前すらしらないんだけど。そんで、あんたも俺のこと、ロクに知らないだろ。好きなことは?嫌いなことは?何月生まれでどこの科に通ってて。俺のことを性別と、名前しか知らない奴と俺は付き合えない」
「ちょっと!!そんな言い方しなくても!!」
「……じゃああんたはどうなんだよ」
聞こえたのか友達がそう抗議してきた。けど
「知らない奴にいきなり『あなたのことが好きなんです!ずっと見てました付き合ってください!』って言われたら。ただのストーカーだろ。ていうかまず。俺がこういうことを言う性格だってことすら知らなかったんだろ。ほら、もう、ダメじゃん」
だから、無理。
そう言い放って俺は研究棟から出る。
ほんと女子ってよく言えるよな。まぁ男子もそうかもしれないけど。知らない奴からの告白なんて、気持ち悪いにも程があるだろ…
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