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2−7
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大きな袋は俺とマコトで2つずつ。
俺が持ってんのがZARAで、マコトのがビームス。結局割り勘にしたってそこそこ高い買い物になった。
…ここまで買う気なかったのによ……
ま、普段じゃ思いつかないようなコーディネートとか教えてもらったし結果オーライか?
そんなことを思いつつ5階の駐車場に向かう。予想通り、そこにあったのは国産の高級車、の部類に入るはずの、レクサスで。うっわぁ、とちょっと引く。
…これで外車だったらもっと引くわぁ………
どこまで予想を裏切らないんだか、この男は。
ある意味楽しいけどある意味つまらないというか。こらで軽とかミニ乗ってたらぜってぇ笑ってやるのに。
「シンは嫌いなものある?」
「…二枚貝?ホタテと赤貝以外無理だ。あとは…ゴーヤ?ゲテモノも無理」
「じゃあ、そうだな…トンカツはどうだ、旨い店があるんだなぁ、これが」
「いいぜ別に。ヒレカツにしようかな…」
「おいおい、そこはロースだろう。いや、でもヒレ
の方がシンにはあってるかな」
後ろに荷物を積み終えたマコトは、俺の首元に軽いキスを落とす。思わずそこ押さえながら後ずさる。
こいつ、こんなとこでなにしてくれてんだ!
それが言わずとも通じたのか笑って「誰もいないのは確認済」と言われる。
…こいつ、ほんと、どうしてくれようか……!
「ほら、乗った乗った、早くしないとトンカツが逃げるぞ」
調子を狂わさられながらも、俺はマコトがドアを開けてくれた助手席にするりと入り込み、マコトと同じ匂いのする車内で少し思い出していた。
それはもちろん、昨日の夜の、こと。
□□□□
「なにこれ…うまっ!!!」
サックサクの衣はきちんと狐色になっていて、それに包まれた肉はもう絶品としかいいようがない。
噛む度に広がる旨味と肉汁。柔らかすぎない硬さでいつの間にか口の中から消えている。
それにめちゃくちゃあっているのがこのソースで、濃すぎず薄すぎず。時折ピリッと辛味が走っていいアクセントになっていた。
「気に入ってくれたようで何よりだ。あぁほらそんなに急がなくてもいいから…ゆっくり食べなよ」
「んなこと言ったって!旨すぎだろ!」
「ここは俺のお気に入りだからね、美味しくて当たり前」
「なんだそれ…わっ、この豚汁もうまぁ…」
「…忙しないね」
マコトがなんか言ってる気がするけど気にしない。
でも、ほんとに気になんないくらいトンカツが旨すぎて、いつの間にか俺の皿の上は空っぽだった。けどそれこそいつの間にか。
「これも食っていい?」
「当たり前。いっぱい食べなよ」
洒落た店の雰囲気にあった古風な木のテーブルの上には、ヒレカツが置いてあった。
それに箸を伸ばし、久しぶりにとても旨いご飯を腹いっぱい食べれて俺は少しだけマコトと今日会ったことに感謝した。
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