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2-10
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「腹いっぱい…」
「嘘つけ、お前はもっと食った方がいい」
「いや」
「…明日の朝飯増やすぞ」
「はぁ!?ふざけんな、俺朝こそ食べれないんだけど!」
「知ってるよ、馬鹿」
そう言って後ろから抱きしめられる。甘えた猫のように頬を俺の背にくっつけるアラタは今にもゴロゴロと喉を鳴らしそうだ。
こうやって、一緒に風呂に入るのはすごく久しぶりだ。
あんまり広くない湯船に男2人は少しキツイ。俺的にはあんまり一緒に入りたくないんだけど、アラタは嬉しそうだった。そんな奴のメガネをとった顔はかなり新鮮で、ちょっと眺めたいと思った。けど、がっちり抱きしめられてるから見るに見れない。
…てか暑いのが余計暑くなるからやめてほしいんだけど
風呂場でくっつくとか頭おかしい。
「あ、そーだ」
「なに、いきなり」
アラタが顔を上げてそういう。くる、と俺の向いている方向を反対にさせて顔を見れるようになる。
「お前、どうして昨日俺に連絡しなかった」
「は、なんで……」
「夜は雨が降ってたはずだ、それにもうこの時期だぞ。さっきは気がつかなかったが…言っただろ、何か起こる前に連絡しろって」
「ごめん、なさい…昨日は、バーにいたから、」
「ならまだマシか」
アラタの顔つきは厳しい。それもそうだ。俺たちの交わしてる約束の中で、一番大切な一番守らなきゃいけない約束を破ったんだから。
寒い時期の雨の日。
その日は必ずアラタに連絡をしなきゃならない。そして家に来て、抱いてもらう。そうでもしなければ、俺はちょっと生きるのが辛くなる。
まぁ幸い。
昨日はバーにいてそこまで寒くもなかったから、アラタはあまり怒らなかった。といっても充分逆鱗スレスレだけど。その証拠に
「ということで、今日はイヤっていうほどイかせてやるよ。辰綺」
と言った。
「ま、まずは風呂場で一発、ヤろうか」
立ち上がったアラタは顔にかかった前髪を後ろに撫で付けた。そしてにっこり笑い、俺の手を引いてキスを落とす。
雰囲気だけは抜群によかった。
気分はすっげぇ、最悪。
…………でも、喜んでる自分もいるのは、確かなことだった。
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