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3−1 苦いの
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今日のシーツは暖かった。
薄く目を開くと隣には新がいた。男らしい、けど白くて綺麗な腕の中に俺はいる。もちろんお互いマッパ。まぁさすがに下着ははいてるけど…
少し動いて、俺も新の背に手を回す。
…起きる、かな
予感は的中。新は意外と眠りが浅い。寝るときはすごく深く寝るから、朝は少し何かするとすぐに起きる。ちょっと眠そうな目が俺を見下ろした。
「…はよ」
「………ょ」
「やっぱ、声でねぇな」
いつもそうだ
頬を滑った手がもう一回背に回って、腕に入る力が強くなり、俺は新の胸板に押し付けられた。すん、と鼻を動かせばアラタと石鹸の匂いがする。
「飯、食う?」
「ん、ぁ"た、…ぇ」
「………見事に声かすっかすだな…マスクあったっけな…」
「あ"、る」
「なら後でしとけよ。お前の声聞けないのはちっと寂しいからな。あぁそうだ、今日お前俺の講義だけだよな、大学」
「うんん、あと、いっ、こ」
「じゃあ休め。誰のだっけ、阿部さん?」
頷く。そうすればもう一回じゃあ休めと言われる。まぁ俺としても休みたい。腰は痛い、穴は違和感ありあり。これじゃあ家の中歩くのだって大変だ。
アラタはあまり休みの許可をくれないから今日は甘えよう。
新、と呼べば、ん?といつもよりめちゃくちゃ優しいトーンで返される。
「まだ、こ、…、ま?」
「は?もっかい」
「ま、だ、この、ま…ま?」
俺の好きなあたたかさの手が髪をすく。そういえばマコトの手もこんくらいだっけ。あぁ、でも。
…全然違う………
新は俺の肩を掴んで一緒に起き上がらせる。また抱きしめられ顔を上に上げられる。そこには少し哀しい色の眼があった。
「まだとか言うんじゃ、ねぇよ…、お前は俺のもんだぜ、辰綺。ずっと、ずっとだ。お前がいないのは無理だ……」
「でも、ぉわって、る……あの日、お前は、来てくれなかった、」
喋る内に声は元に戻っていった。
俺達って、いつもこう。
抱き合った後はいつもこう。
抱き合いたがる癖に後味最悪。それはアラタがいつまでも引きずってるからで、俺がアラタのことを離せないからだ。
だって新は俺の安定剤。
だってアラタは俺の金ヅル。
「辰綺…飯、食おう…」
「ぅん………」
―――パンが、いいな、人かけらでいい、食べれないもん
「つって、もう昼じゃん、講義やめようかな…5限だったよな…じゃなかったら死ぬわぁ……」
クローゼットからシャツを投げ渡される。俺の家のクローゼットはウォークインクタイプで、新はその奥に入って服を見繕ってた。
俺はそれを傍目に見る。
―――うん、そう、だって、俺は
「あ、このシャツこっちにあったか…」
だって新は俺のパートナーだ
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