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「…うん、」
どうしよう。
「なんもねぇ…」
なにがって?もちろん冷蔵庫の中身。特に野菜。&隣のセラーの中身、つまり酒。主に洋酒。
もはやゼロっつってもいいくらいない。
…しまった
ここ最近外で食べることが多かったし、酒は万智んとこで飲むことが多かったからそもそも買ってない。今から買いに行く?スーパーはいいとして酒を買いに行くのは面倒だ。なにせ近くの酒屋が電車と歩きで20分かかるとこ。
まあスーパー行くのと同じくらいだけど。
でも2つは行きたくねぇなぁ。行くとしたらどっちか。
「飯は死活問題だけど…食いに行きゃどうにかなるし…酒は……いろんな意味で死活問題だな」
まず今日飲めない。
つーことで酒屋に行こう。
まぁ食材ならあとで新と一緒にスーパー行けばいいし。あとでメールしとこ。
俺はじん、と痛む腰をおさえながら部屋に戻った。鞄を手に取って財布の中身を確認する。日本酒だと…四合瓶が5本くらいなら余裕だな。
何にすっかなー。
冒険するか、しないか。
「ま、気分でいいか」
どーせアラタ飲まないし。あいつ洋酒派だし。
□□□□
電車に揺られトコトコ歩いて行きつけの酒屋に着けば、万智がいた。そんなに珍しいことでもない。だってここは万智に教えて貰った店なのだから。
教えた本人がいるのはなんら不思議じゃない。
「不思議なのは、店主がオカマなことくらいだな」
「あらー?シンちゃんじゃなぁい。お久しぶり、とうとう在庫つきたの?」
「……ウゼェ」
カランとドアベルを鳴らせば、目前には髪の長い男がいる。まぁ、一見女に見えないこともない。こいつも例に漏れず顔はいい。
「あれ、どーしたよ。そんな疲れた顔して。あ、こないだよイケメンか!?」
万智は万智ど開口一番そう聞いてくる。うっせぇ、ちげーよと答えて隣に立つ。だけどちょうどレジカウンターのとこにスツールがあるのを見つけて、やっぱり座ることにした。
「今日の疲れは新のせい。昨日、あいつ、ヤケにがっついてきたからなー」
「えっ、シンちゃんまだあのロクデナシのところにいるのっ!?」
「わりぃ?どこにいて何しようが俺の自由、オカマに決められる筋合いはねぇな」
それに
「まわりに茶々入れられてシリアス展開はもう飽きた」
言えば万智が酒瓶を手に持っ眼前に立つ。ずいと差し出してきたそれは俺の好きな酒で、
―――唯一アラタが好きな日本酒
めんど…
「なに、」
「どーせこれ目当てで来たんだろ?立ちたくないみたいだから探してやった。感謝しやがれ」
「うわぁ余計なおせっかい」
「だまれっ、いーだろ!おせっかいやくのが俺のポリシーなの!」
「知るかそんなん」
「……ま、あんたが泣いてないならそれでいいわ。あ、新しく入荷したお酒あるんだけど、どうする?」
じゃあ試飲する。そう答えて万智と2人になる。少しだけ万智は睨んできて、でも俺はそれを無視する。
「隈、ひどいよ」
「あっそ」
「ちゃんとしてくれよー?俺の店のカネヅルがいなくなる」
そーゆーことならいくらでも行ってやる。でも、大丈夫、安心して、お前んとこにもう酒と客を捕まえる以外行くつもりないし。
俺はカウンターに肘をついて新しい酒を待った。美味かったら明日マコトに教えてやろう。ワインよりも美味しいだろって、言ってやるんだ。
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