アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3-8
-
タクシーの中。
深幸さんは俺の左手を触って来た。指を一本一本確かめるように。そして薬指に行きつく。
「ここにリングがはまることはないのかな」
「ない」
「なんだ残念。俺はこれでも君の恋路を応援していてね、いつかここにシルバーのリングが付くことを夢見ているんだが」
「ありえない」
俺は車窓の向こうを見る。ネオンや看板、車に人、いろんなものが流れて次々に動いていく。信号で止まれば、ちょうど横断歩道を渡ろうとしているカップルに目が止まる。
…あれにはなれねぇな
なるつもりもないしならなくていい。別にゲイだということを後ろ向きに捉えたことは無いし。
…でも
誰かと一緒に街を歩けたらいいなとは思う。それはきっと楽しいんだろうなと。だからかなぁ、と不意に考えついた。
…だから、ウリやってんのかな
ねぇ深幸さん、俺は話しかけた。
「俺に恋人って、できると思うか?」
びっくりしたようで動きが止まった。けれどすぐに笑い声をあげる。左手に触れる、薬指にあてがわれた深幸さんの指に力がはいった。
根元から舐め上げるように触られる。弄ばれていつの
間にか恋人繋ぎになっていた。
その手を、見る。俺の手は成されるがままで。
「さぁねぇ…それはわからないな。けど言ったばかりだよ。俺は君の恋路を応援している、ってね。君が人を好きになれたら、愛することができるようになったら、俺は君を祝福してあげよう」
「…人は別に嫌いじゃないぞ」
それに
「愛してたことだって、ある…」
「じゃあ、あとは相手だね。きっといるよ。君みたいな人間を好きになるニンゲンがね」
好きになる、と人間の間に、”愚か”という言葉が聞こえた気がして、俺はまた窓の外を見た。
□□
「あぁっ…は、ぁん、もっとぉ…!!」
「今日は、やけに、積極、てきだね」
うつ伏せ、腰だけ高く上がってる。
「んぁあ!やぁ、そこ、いいのぉ…」
手はシーツを握りしめてシワをつくる。
気持ちいいのと、繰り返される穿ちによって、俺は酔っていた。
「みゆ、きさ、もっと、もっと、はげっ、しく…!!!あぁぁ!!」
「充分、激しいと、思うけど、ねっ」
「ひゃああっ!だめぇ、しんじゃっ…」
思う。
妙に醒めた頭の中で
「いやぁああああ!!!!」
……もうまことにはあえないんだろうなぁ
それは、妙に。
確証があったんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
30 / 85